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都知事選「君ならどうする」、動画や模擬投票で子どもたちの「きっかけ」期待

読売新聞 / 2024年7月2日 14時10分

 東京都知事選(7日投開票)をきっかけに、選挙に関心を持ってもらおうと、都内各地で若年層をターゲットにした取り組みが行われている。学校で授業や模擬投票を行ったり、期日前投票所の投票立会人に起用したり……。目指すのは、低迷が続く若者の投票率アップだ。(神園真由美、水戸部絵美)

◆「1票は大事」

 「選挙は社会をよくするために代表者を多数決で選ぶことです」。都知事選の告示を6日後に控えた6月14日、江戸川区立松江小学校では、6年生の児童たちが学習用タブレット端末を操作し、投票の大切さを解説する動画を視聴していた。

 動画は都選挙管理委員会が昨年度に制作した「みんなの将来が決まる? 選挙(1票)のチカラ」。子供たちが楽しく学べるよう、アニメを使って選挙の基礎知識を説明するほか、架空の候補者の意見を聞いて1票を投じる模擬選挙を体験できる。男児(11)は、「投票しなくても誰かがやってくれると思っていたけど、1票って大事だね」と級友と意見を交わしていた。

 前回2020年の都知事選で、江戸川区の投票率は都内平均より4・3ポイント低い50・7%と、23区中21番目の低さだった。そこで区は今回の都知事選に合わせ、全98の区立小中学校で動画を視聴できるようにした。区選挙管理委員会の佐久間義民事務局長は「家庭で親と選挙の話をするきっかけとなり、将来、政治に興味を持ってくれるとうれしい」と期待を込める。

◆模擬投票

 改正公職選挙法の施行で16年、選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。当時、総務省が18〜20歳の男女3000人に行った調査では、子供の頃に親の投票について行ったことがある人の投票率は63%と、そうでない人より21・2ポイント高かった。また、有権者としての考え方や行動を学ぶ「主権者教育」を受けた人の投票率は55・7%と、受けたことがない人よりも7・2ポイント高かった。

 文部科学省は20年度から、小学校の学習指導要領で「主権者教育の充実」をうたい、22年度には高校の必修科目として、政治参加の意義を学ぶ「公共」を新設した。同省の担当者は「子供の頃から選挙を身近に体験することが、大人になってから政治への関心を持つことにつながる」と話す。

 練馬区の富士見中学校高校も16年から、実際の選挙を基にした模擬投票を実施している。先月25、26日の放課後に行われた模擬投票では、生徒らが投票用紙に今回の都知事選の候補者名を書き、1票を投じていた。区選管から投票箱や記載台を借り、投票用紙を渡す係員役も生徒らが務めた。

 今回の都知事選で初めて投票に行くという高校3年生(18)は、「ニュースを見て各候補の実績や人柄を調べた。必ず投票して、政治に若者の声を届けたい」と話す。

◆立会人に起用

 前回20年の都知事選の投票率は55%。年齢・年代別では、18歳が60・58%と全体平均を上回った一方、20歳代は41・17%と落ち込み、全年代で最も低かった。若者の関心をどう維持するかも課題だ。

 武蔵村山市は18年から、市内で選挙がある度に、投票が公正に行われているか確認する「投票立会人」に18〜29歳の若者を起用している。

 当初、数人だった応募者数は年々増え、今回の都知事選では過去最多の83人に上った。市役所の期日前投票所で投票立会人を務めた大学1年の女子学生(18)は、「初めてということもあり興味があった。同年代の人も投票に来ていて、改めて選挙の大切さを感じた。今後の選挙では必ず投票したい」と話す。

 浦和大学の林大介准教授(主権者教育)は「初めて投票する18歳は学校の働きかけもあり、投票率が高いが、多くはその後、関心を持ち続けられなくなる。子供の頃から授業や地域の活動を通じて、選挙や政治を身近に感じる取り組みを続けることが不可欠だ」と指摘する。

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