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沖縄米兵事件 信頼を損ねた情報伝達の遅れ

読売新聞 / 2024年7月3日 5時0分

 米兵による性暴力事件はなぜ繰り返されてしまうのか。卑劣な犯罪であり、断じて許せない。在日米軍は再発防止策を徹底すべきだ。

 沖縄県内で昨年12月、米軍嘉手納基地所属の空軍兵に少女が誘拐され、暴行を受けた。那覇地検は今年3月、わいせつ誘拐と不同意性交の罪で空軍兵を起訴した。

 また今年5月には、沖縄北部にある米軍キャンプ・シュワブの海兵隊員が成人女性を暴行し、けがを負わせた。県警は海兵隊員を緊急逮捕し、那覇地検は先月、不同意性交致傷の罪で起訴した。

 被害者の恐怖や絶望感は計り知れない。沖縄の多くの市町村議会は、米政府に被害者への補償を求める決議を採択した。嘉手納基地周辺では、抗議デモも起きている。県民が憤るのは無理もない。

 沖縄で1995年、小学生女児が米兵3人に暴行された事件は日本中に大きな衝撃を与え、米軍基地再編のきっかけとなった。

 だが、その後も米軍人・軍属による性犯罪は後を絶たない。

 性暴力事件が起きる度に、在日米軍は軍人らの外出を一定期間制限したり、研修を強化したりといった対策を講じてきたが、効果が上がっているとは言い難い。

 米政府は米軍の規律を正さねばならない。実効性のある犯罪抑止策を早急に講じ、国や県に丁寧に説明する責任がある。

 在沖縄米軍は、日本だけでなく、インド太平洋地域の安全を確保する重要な役割を担っている。

 県民の反基地感情が高まれば、安定的な駐留が損なわれかねない。日本の安全保障にとっても深刻であり、日米両政府は県との信頼回復に力を注ぐ必要がある。

 今回の二つの事件を巡り、沖縄側は、県への情報提供が遅すぎたと政府を批判している。

 外務省は、空軍兵が起訴された3月、エマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れたが、県には事件を伝えなかった。捜査に支障をきたしかねず、被害者のプライバシーを侵害する恐れもあったためだという。

 被害者保護を名目に公表を遅らせる意図があったのではないか、との疑いを抱かせる。少なくとも起訴後には公表すべきだった。

 空軍兵を起訴した3月に県が事態を把握し、県から県民に注意を呼びかけていれば、5月の事件は防げた可能性もある。

 政府は、沖縄に偏っている米軍基地負担の軽減を急がねばならない。それが、県民の不安を和らげることにつながるだろう。

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