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独占禁止法違反疑い企業のチェック体制、公正取引委員会が強化へ…第三者の監視義務化

読売新聞 / 2024年7月3日 5時0分

 公正取引委員会は、独占禁止法違反が疑われた企業に対する行政処分の多くを占める「確約手続き」について、弁護士ら第三者による改善状況の監視を義務づけるなど、事後チェック体制を強化する方針を固めた。過去には、米IT大手グーグルが問題行為の報告を怠ったケースもあり、必要に応じて強制権限を使った企業側への調査に踏み切るなどして、再発に対する抑止力を高める狙いがある。

 グーグルやネット通販大手アマゾンジャパンなど、多くの企業に適用されてきた確約手続きを巡っては、独禁法の専門家から「適用後は企業側の報告任せで、実情が確認できない」などの指摘があった。

 特に今年4月に確約手続きが適用されたグーグルについては、2010年にライバル会社のヤフー(現・LINEヤフー)と提携した際、「両社の競争関係を維持する」と公取委に説明したにもかかわらず、14年にヤフーの取引を制限する新たな契約を締結。翌15年から約7年間にわたり、不当な取引を続けていた。その間もグーグルは公取委による複数回の聞き取りに事実を一切報告しておらず、事態の発覚が遅れた。

 同じような悪質な報告逃れが、今後の確約手続きでも起きる懸念があり、改善計画認定後の監視体制を強める必要があったとみられる。

 関係者によると、公取委は企業側と今後協議を始める確約手続きで、改善計画に盛り込んだ全項目の実施状況を「独立した第三者」に監視させることを企業側に求める。また、問題行為の取りやめ状況の確認に加え、従業員向けの研修や行動指針の作成といった再発防止措置の現状も第三者がチェックすることを計画に明記させる。第三者には弁護士や監査法人などの専門家が想定され、企業側が選任して費用も支払う。

 欧州各国には確約手続きの実施状況を専門家が監視し、違反を競争当局に報告する「トラスティー」と呼ばれるシステムが存在しており、今回の事後チェック体制の構築は、事実上の「日本版トラスティー」の導入となる。

 さらに、現在は慣例的に3年間としている「問題行為の取りやめ」と「再発防止措置の実施」を求める期間を原則5年間以上に延長し、公取委に毎年行う現状報告の期間も原則5年間以上に延ばす。調査の実施主体も監視役となる第三者とする。

 公取委は今後、報告義務を果たさず、新たな情報提供も拒むなどして計画の実施状況に疑問が生じた企業に対しては、改善計画を認定した後であっても、独禁法に基づく強制的な事情聴取や資料収集を積極的に実施する。企業側が応じなければ、1年以下の懲役か300万円以下の罰金の対象になる。

 ◆確約手続き=原則的に談合・カルテル以外の容疑が対象。問題行為に対する改善計画を企業側が自主的に提出し、公取委が実効性が十分と判断すれば違反は認定されず、課徴金納付命令と排除措置命令も出ない。迅速に競争環境が回復できることから、2018年12月の導入以降、対象事案の約8割に上る19件(21事業者)で適用された。

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