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熱海土石流で帰らぬ夫へ…送り続けたLINEは3年間で100件「ねえ、じいじ聞いてよ」

読売新聞 / 2024年7月3日 12時0分

追悼式で、献花台を前に手を合わせる遠山節子さん(右)(3日午前、静岡県熱海市で)

 28人が死亡した静岡県熱海市 伊豆山 いずさん地区の土石流災害は3日で発生から3年となり、伊豆山小学校で市主催の追悼式が開かれた。遠山節子さん(62)は犠牲になった夫の雄二さん(当時63歳)を思い、静かに手を合わせた。(静岡支局 貞広慎太朗)

 「じいじ、きょうは運動会があったよ」「(息子が)海外に転勤したよ」――。節子さんは家族の出来事を記した LINE ラインを雄二さんあてに送り続けてきた。この3年でメッセージは100件近くにのぼる。雄二さんは家族を喜ばせるのが好きで、LINEを送ると、ひょうきんな返事が返ってきた。「返信が来るのを想像して送っている」と話す。

 雄二さんは県東部で節子さんら家族と25年にわたりペンションを経営してきた。還暦を迎えて伊豆山地区の保養所に就職し、通勤途中に車ごと流された。

 節子さんはあの日から時間が止まったままだ。今も買い物に行くと夫の服を探してしまう。自宅の一角に、雄二さんのネクタイやサングラス、財布、スマートフォンを並べた。雄二さんのスマホには家族からのメッセージや思い出の写真がたくさん残っていると思うが、まだ電源を入れられずにいる。あの日、夫がお昼の弁当に持っていったカレーも、作ることができない。

 この3年で孫が3人増えて8人になった。にぎやかなひとときに、ふと雄二さんの姿が頭に浮かび、節子さんは「ねえ、じいじ聞いてよ」と話しかける。「いたはずの人が突然いなくなり、寂しい」と語った。

 追悼式には遺族ら約70人が出席。斉藤栄市長は昨年9月に警戒区域の指定が解除されたことに触れ、「少しずつだがあかりがともり始めている。一日でも早い復旧、復興に全力で取り組む」と述べた。

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