1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

新紙幣への券売機などの対応進まず、キャッシュレス化加速か…「タンス預金」動き出す可能性

読売新聞 / 2024年7月4日 6時50分

 新紙幣の流通が3日に始まり、銀行の店舗では両替をしようとする利用者の姿がみられた。現金を使わないキャッシュレス決済が進む中、券売機などの対応は十分に進んでおらず、隅々まで浸透するには時間がかかりそうだ。新札への交換を通じて、タンス預金が動き出す可能性もある。

 3日午後、東京・丸の内にある三菱UFJ銀行本店の窓口には、両替を待つ100人超が列を作った。東京都港区の女性会社員(58)は、「本店ならば手に入るかもしれないと思って来た。金額表示が洋数字になり、海外の人にもわかりやすいのではないか」と話した。

 新しい紙幣を出す主な目的は偽造の防止にある。3Dホログラムや図柄のほか、すかしにも高精細な模様を入れた。銀行や交通機関、小売店などは現金自動預け払い機(ATM)や券売機の更新が必要になる。

 日本自動販売システム機械工業会が6月に実施した調査では、金融機関のATMや鉄道の券売機でほとんどが対応可能となった。飲料の自動販売機は2〜3割程度にとどまっている。

 新紙幣の発行がキャッシュレス化の加速に弾みをつけるとの見方もある。「カフェ ラ・ボエム」などを展開する飲食チェーンのグローバルダイニングは1月から、一部を除くほとんどの店舗で現金の取り扱いをやめた。広報の担当者は「対応する機器の交換費用なども考慮した」と説明する。

 経済に詳しい専門家は「規模が小さい飲食店の券売機はリースが多い。新紙幣対応の機器に入れ替える時に、キャッシュレス機能も追加されるだろう」と話す。

タンス預金減か

 別の効果として期待されるのが、銀行に預けずに自宅に置くタンス預金の減少だ。市中に出回る紙幣の残高は、前回紙幣が発行された2004年の約78兆円から24年4月末には約121兆円まで増えた。第一生命経済研究所の熊野英生氏の試算によると、半分近い約58兆円が自宅に保管されているという。

 20年前も新紙幣への交換などでタンス預金は一時的に減った。物価の下落が続くデフレにあった当時に対し、今は物価が上昇しており、現金の価値は目減りしている。熊野氏は「インフレ下では、現金で持つよりも利益が見込める投資資金に回る動きが出るのではないか」とみている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください