日銀6月短観 個人消費の弱さが気がかりだ
読売新聞 / 2024年7月5日 5時0分
日本経済の緩やかな回復基調が確認できたとはいえ、消費に弱さがみられるのが気がかりだ。
政府と日本銀行は、景気や物価高の動向をしっかりと点検して、政策に生かしていってもらいたい。
日銀が6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数は、代表的指標である大企業・製造業で、前期より2ポイント高いプラス13だった。2四半期ぶりの改善だ。
3月の短観では、ダイハツ工業の品質不正問題が影響し、1年ぶりに悪化していた。今回、ダイハツの生産が再開したほか、「石油・石炭製品」などの素材関連産業で、原材料費の販売価格への転嫁が進み、景況感が上向いた。
日本経済は、大企業の好調な業績や高い賃上げの恩恵が中小企業に及び、デフレから完全脱却できるかどうか正念場にある。取引先が多い大企業・製造業で回復基調を再確認できたのは朗報だ。
懸念材料は、消費関連業種で景況感が悪化したことである。
内需関連が中心の大企業・非製造業の指数は、2020年6月以来、4年ぶりに悪化し、1ポイント低下のプラス33だった。「小売り」が前期比で12ポイント低下して、プラス19だった影響が大きく、個人消費の関連業種はそろって低下した。
長引く物価高に賃金上昇が追いつかず、実質賃金は4月まで2年以上、マイナスだ。消費者の節約志向が高まり、サービス業の景況感に影を落としている。個人消費が失速しないよう、政府・日銀は警戒を強める必要がある。
物価高の対策として、6月から所得税と住民税の定額減税が実施に移された。8月からは3か月間、電気・ガス料金の負担軽減策を復活させる。だが、こうした支援策は貯蓄に回り、消費の活性化効果は小さいとの分析がある。
対策を講じるなら、効果の薄いバラマキではなく、支援の的を絞ることが重要だ。
一方、物価高の大きな要因は、1ドル=160円を超える水準の円安である。日米の政策金利の差が大きく、投資家にとって米ドルで運用することが有利なためだ。
景気回復を受け、金融市場では日銀が今秋までに追加利上げすると予想する声が多い。利上げすれば円安に一定の歯止めがかかることが期待されるが、中小企業などの資金繰りには負担になる。
日銀は今月下旬に金融政策決定会合を開く。物価と経済への分析を深め、適切な利上げ時期などを判断することが大切だ。
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