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特産茶で「ロウリュ」、香りも楽しむサウナ…「飲むのとは違った楽しみ方を」

読売新聞 / 2024年7月5日 14時40分

熱した石に八女茶のほうじ茶を注ぎ、香りも楽しむ「チャウナ」のサウナ

 全国的なサウナブームの中、地元特産のお茶を使ったサウナを体験できる施設が増えている。熱した石(サウナストーン)にお茶をかけて蒸気を発生させ、香りも楽しむユニークな活用法で、交流人口の増加やお茶の消費拡大への効果も期待されている。福岡県八女市には八女茶を使った施設が登場し、関係者は「飲む八女茶とは違った楽しみ方を提案していきたい」と意気込んでいる。(香月大輝)

 6月中旬、同市上陽町にある貸し切りのサウナ施設「チャウナ」で、女性客らがテントサウナを満喫していた。近年、サウナの本場・フィンランド式の入浴法として、サウナストーンに水をかけて蒸気を出す「ロウリュ」と呼ばれるスタイルが人気だが、この施設では水の代わりに八女茶のほうじ茶を使う。福岡市から訪れた会社員の女性(32)がお茶を注ぐと、熱波とともに香ばしい匂いが広がり、「香りが良く、通常のサウナよりリラックスできる」と笑顔を見せた。

 チャウナは昨年4月、飲食店などを経営する「ファーストグループ」(福岡県久留米市)が開設。テント内で汗をかきながら、八女茶や日替わりのアロマオイルの香りを楽しむ。八女茶には美肌や消臭の効果があるという。

 社長の泊裕太さん(29)は以前、同県広川町で飲食店を経営していた時に、八女地域の農産物や自然の豊かさに魅力を感じた。「自分が好きなサウナと特産物を組み合わせ、地域活性化につなげられないか」と考え、八女茶を活用したサウナを始めた。使用する茶葉は同町の製茶会社から購入している。

 利用客の多くは福岡都市圏からで、特に夏場は1か月に400人以上が訪れることも。泊さんは「八女茶のサウナをきっかけに、市外の人と八女をつなぐ架け橋になれたらうれしい」と意欲を示す。

サウナー取り込み

 既存の観光施設でも、「サウナー」と呼ばれる愛好家を取り込もうと、特産のお茶を活用したサウナを導入する動きが進む。

 山口市徳地野谷のキャンプ場「ふれあいパーク大原湖」では、地元の企業組合が製茶したカワラケツメイ茶のほか、クロモジ、ローズマリーなどを使うテントサウナを始めた。キャンプ場の河村政枝さん(54)は「ここにしかないオリジナルのロウリュで、地域の魅力も感じてもらえたらうれしい」と語る。

 佐賀県の嬉野温泉観光協会は嬉野市の とどろきの滝公園でサウナ用のテントを貸し出し、利用者は有田焼のサウナストーンに嬉野茶の緑茶を注ぐ。体を温めた後は、滝の前にある岩場で水浴や外気浴をして「ととのう」ことができると評判だ。

「ロウリュ茶」開発

 国内では、地域の農家が栽培するお茶の消費が減り続けている。農林水産省によると、急須で飲む緑茶(リーフ茶)の1世帯あたりの消費量は、2007年の1038グラムから23年には676グラムまで減少している。

 消費拡大を目指す茶農家が着目したのがサウナだった。全国屈指のお茶所、静岡県では18年、若手農家7人が茶普及のチーム「T―GATE(ティーゲート)」を結成し、石にかけると製茶時の爽やかな香りが立ち上るサウナ専用の「ロウリュ茶」を開発した。

 チームの中には、サウナの利用客をタオルであおいで高温の蒸気を送る「熱波師」の検定を受講したメンバーもいる。温浴施設に出向いてロウリュ茶で蒸気を発生させ、タオルを振って熱波を送っている。チームでは、サウナ後に味わってもらう新商品の開発にも力を入れているという。

 メンバーの一人で宇津山製茶(浜松市)の工場長、宇津山公啓さん(46)は「サウナでお茶の香りを楽しんでもらうことで、飲むお茶の需要喚起にもつなげたい」と話している。

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