韓国で研修医１万人が職場離脱、「医療空白」に患者ら４００人が抗議集会

４日、ソウルで、医療の正常化を訴える患者ら＝小池和樹撮影

　【ソウル＝小池和樹】研修医らが多数職場を離脱するなど医療界の混乱が続く韓国のソウルで４日、患者ら約４００人が医療の正常化を訴える抗議集会を開いた。韓国メディアによると、患者らの大規模な抗議は異例だ。

　研修医らは２月、 尹錫悦 （ユンソンニョル）政権が発表した大学医学部定員の大幅増の方針に反発して一斉に辞表を提出。尹政権が地方の医師不足への対応などを理由に挙げたことに「問題の解決にならない」などと主張したが、実際には競争相手増加による収入減などを懸念しているとみられる。

　今月になっても研修医約１万人は職場に戻っておらず、がん患者らの手術の延期や中止が発生している。この日の集会では難病患者の家族が「治療を受けられずに死んでしまうのではないかと毎日が恐ろしい」と涙ながらに語った。

　病院の医師らも政府に反発して一部が休診に踏み切るなど、混乱は拡大する兆しも見せている。患者団体代表の 安基宗 （アンギジョン）さん（５４）は「なぜ私たち患者がさらに苦しまなければいけないのか。政府と医師は加害者だ。医療空白は迅速に正常化しなければならない」と訴えていた。