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市道として売却したのに市が所有権移転せず…男性に45年課税、訴え無視し差し押さえも

読売新聞 / 2024年7月6日 15時46分

 約45年前、当時の愛媛県川之江市(現・四国中央市)の道路拡幅工事で、市道に取り込まれた民有地の一部の手続きに不備があり、四国中央市の男性(74)に固定資産税が課せられ続けていることがわかった。今年6月、男性の自宅倉庫から当時の関係書類が見つかり、市は固定資産税の非課税範囲を示した地方税法に抵触している恐れもあるとみて、調査を始めた。(岩倉誠)

 問題が発覚したのは、市道東金川1号線(総延長991メートル)のうち、東金川橋付近から南へ延びる約160メートルの部分。

 男性によると、男性の父親が1979年11月、山林の一部だった15・57平方メートルについて、当時の石津栄一・川之江市長と土地売買契約を交わした。道路の山側部分の工事は、のり面をコンクリート擁壁にすることになり、工事完了後に市が用地面積を測量して価格を算出し、売買契約を確定させる約束だったという。

 工事は82年度に完了。しかし、市は土地所有権移転手続きを行わず、「今は予算がないので次年度で実施する」と用地測量や移転登記を延期していた。

 男性は87年12月、父親の死去に伴い土地所有者となった。市建設課や税務課に「市道となった部分はもう民有地ではないから、工事前の面積で課税し続けるのはおかしい」と訴えた。

 ところが、歴代の担当者は「今は測量調査の予算がない。来年度行う」「旧市時代の話で資料は残っておらず、工事が本当に行われたかどうかも疑問」と繰り返し、測量や課税額の修正に応じなかったという。

 男性は2005年頃から固定資産税の支払いを拒否。県内20市町でつくる「愛媛地方税滞納整理機構」からの納税催告にも応じなかったため、08年10月には自家用車と電子オルガンを差し押さえられた。

 今年4月には納税催告書が届き、19年度から5年間分として、延滞金を含めて計135万800円を請求すると記されていた。男性が支払いを拒むと、5月に普通預金口座の現金32円を差し押さえられた。

 そんな中、男性が6月に自宅倉庫を整理していたところ、当時の工事図面や工事請負契約書などが見つかった。関係書類を見た市建設部の石田暁裕部長らは「男性の言い分は事実だった」と初めて認めた。

 男性は「そもそも現地調査と公図との照合で簡単に判明すること。固定資産税額を修正したくないから、資料がないことを理由に動かなかったとしか思えない」と憤っている。

 読売新聞の取材に対し、石田部長は「市道として取り込んだ民有地に課税するなど、本来あり得ない。男性には長年にわたり、大変なご迷惑と心労をおかけした」と謝罪。「早急に測量を実施し、固定資産税額の修正を検討する。同時に、過去の担当者や市職員OBから放置した経緯を聞き取り、再発防止に努める」としている。

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