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「ジャパン・アズ・ナンバーワン」著者ボーゲル氏の蔵書、愛知大に寄贈…中曽根康弘氏のサイン本も

読売新聞 / 2024年7月6日 15時0分

 戦後日本の高度成長の要因を探ったベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で知られる米ハーバード大名誉教授、エズラ・ボーゲル氏(1930〜2020年)の蔵書や保管していた資料など約3600点が愛知大(名古屋市)に寄贈された。講義用のレジュメなど貴重な資料も含まれ、同大は研究に活用するほか、来年にも学内の図書館に「ボーゲル文庫」を設けて公開する予定だ。

 愛知大国際中国学研究センター所長の 李春利 りしゅんり教授(国際産業論)は、ハーバード大研究員を務める縁で長年交流があり、ボーゲル氏は2019年11月、「永遠の隣人 日中の歴史から考えるアジアの未来」と題し、日本で最後となる講演を愛知大で行った。李教授は22年10月に夫人から自宅に招かれ、書庫に残された蔵書寄贈の申し出を受けた。

 蔵書などは昨年11月、137箱の段ボールで届いた。歴史や政治経済、ビジネス書など多岐にわたり、中曽根康弘元首相や中国の江沢民元国家主席、台湾の李登輝元総統らのサインが入った謹呈本もあり、交遊の広さがうかがえる。余白に書き込みをするなど精読の跡も見られる。

 ボーゲル氏が長年続けた講義「東アジアの工業化」で使ったレジュメも多数あった。講義では、日本が戦後、どう高度成長を果たしたのかを近代まで遡り、連合国軍総司令部(GHQ)による占領や社会秩序などにも着目していた。

 明治政府が海外派遣した「岩倉使節団」を取り上げたレジュメには、漢字で「文明開国」の書き込みがあり、近代化を目指した官営の「富岡製糸場」については、絹の値段まで書き留められていた。日本の成功要因に関して、専門の社会学だけでなく、「55年体制」「護送船団方式」などにも触れながら多角的に迫っていることがわかる。

 李教授は「ハーバード大で、日本やアジア諸国がどのように教えられていたかを裏付ける資料だ。ボーゲル先生の研究の軌跡をたどり、晩年に心配されていた日中、米中関係の悪化をどのように改善できるか、研究を発展させたい」と話している。

 ◆エズラ・ボーゲル=社会学者。米国の東アジア研究の第一人者で、ハーバード大東アジア研究所長などを歴任し、1993年から2年間、クリントン政権で国家情報会議の東アジア担当分析官を務めた。

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