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里親制度 傷ついた子供に温かい環境を

読売新聞 / 2024年7月7日 5時0分

 虐待や貧困などで親と一緒に暮らせない子供たちも、家庭の温かさを感じながら成長してもらいたい。そのためには、里親制度への理解を広げ、支援を拡充することが重要だ。

 実の親による養育が難しい子供は全国で4万人を超えている。国は2016年に児童福祉法を改正し、それまで主流だった児童養護施設などでの集団生活から、里親などの家庭で養育することを優先する原則を明確化した。

 里親制度は、こうした子供を受け入れたいと考える世帯があらかじめ自治体に登録し、委託を受けて子供を預かる仕組みだ。

 養子縁組とは異なり、法律上の家族関係は生じない。受け入れ期間は子供の置かれた状況で変わる。公費で養育費も支給される。登録数は年々増加し、21年度の段階で約1万6000世帯に上る。今後も着実に増やしたい。

 国は里親による養育が必要な子供のうち、乳幼児は75%、学童期以降は50%の受け入れを目指している。しかし、現実には受け入れ率が約2割にとどまっている。

 里親が比較的年齢の低い子供を希望するケースが多く、自治体の依頼とうまくかみ合わないためだ。自分の子供との年齢差や性別との見合いで、子供を預かるかどうかを決める傾向もある。

 総務省は6月、養育経験のない里親が子供をまずは数日間預かってみる「短期委託」などを通じ、子供を受け入れやすい環境を整えるよう、こども家庭庁に勧告した。養育経験を積むことで、受け入れが可能な子供の幅を広げたい。

 里親候補の半数は共働きだ。子供を受け入れた場合、保育所を優先利用できるルールになっているが、自治体がこれを知らず、受け入れを断念した里親もいる。

 預かった子供と関係が築けず、悩む里親も少なくない。里親を支える体制を整える必要がある。

 新潟市は、里親に関心がある人への説明会や、実際に子供を預かる里親の相談に力を入れ、5割台の受け入れ率を維持している。

 民間の福祉団体などとの連携も大切だ。自治体職員の場合は通常、短期間で人事異動があるため、民間の方が息の長い支援を期待できる。各地域で実情に即した支援体制を考えてもらいたい。

 子供を巡る環境は、近年悪化している。22年度に児童相談所が対応した虐待の相談は約22万件で過去最多を更新した。経済的に困窮する子供も増えている。心に傷を負った子供や、その子を預かる里親を孤立させてはならない。

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