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H3ロケット 連続成功で競争力を高めよ

読売新聞 / 2024年7月8日 5時0分

 日本の新たな大型ロケット「H3」3号機の打ち上げが成功した。今後も着実に成功を重ね、世界の人工衛星の打ち上げ市場で通用する力をつけてもらいたい。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発したH3ロケットは、近く退役する「H2A」の後を引き継ぐ主力ロケットだ。昨年3月に初号機の打ち上げが失敗し、今年2月の2号機でようやく成功にこぎ着けた。

 今回で2回連続の成功となる。出遅れを挽回し、海外勢との競争に臨むには、年度内に打ち上げを予定する4、5号機を確実に成功させることが欠かせない。

 初号機の失敗では地球観測衛星「だいち3号」が失われ、H3の2号機は大型衛星を搭載しなかった。今回は「だいち4号」を軌道に投入した。地震や豪雨などの被災状況をより広く観測できるようになった点でも意義が大きい。

 政府は、防衛用の通信衛星や、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」などをH3で打ち上げる予定だ。その後も、月や、火星の衛星への探査機打ち上げミッションが控えている。

 こうした重要な国家プロジェクトを計画通り遂行していくためにも、安定的な打ち上げを実現することが求められる。

 各国で人工衛星の利用が増えている。一方、ウクライナ侵略に伴ってロシアへの打ち上げ発注が困難になったため、日米欧間で受注を巡る競争が活発化している。

 現在は、米スペースX社が圧倒的な優位にある。年間数十機のロケットを打ち上げ、打ち上げ後に地上に戻る再使用型ロケットなどの高度な技術を誇る。

 H3は、打ち上げ費用をH2Aの約半分の50億円に抑える。価格競争力を強化し、正確な打ち上げで信頼性を高めて、まずはスペースXに次ぐ2番手につけたい。

 大型の人工衛星以外に、多数の小型衛星を軌道上に配置し、通信や観測を行う需要が増えている。国が開発を主導したH3だけでなく、小型の民間ロケットも組み合わせ、幅広い商用衛星の打ち上げに対応できる体制が不可欠だ。

 ただ、今年3月には、日本の宇宙新興企業「スペースワン」の小型ロケットが初めての打ち上げに失敗するなど、民間による宇宙開発は力強いとは言えない。

 政府は、JAXAに1兆円規模の「宇宙戦略基金」を設けている。こうした資金を活用して新興企業を後押しし、官民一体の技術開発態勢を整える必要がある。

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