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日大ボート部で挫折、サイクルショップでのバイトきっかけに競輪へ…競技歴4年でパリ「金」候補

読売新聞 / 2024年7月8日 18時0分

 パリ五輪の自転車競技代表には、東京五輪女子オムニアム銀メダルの梶原悠未(27)(TEAM Yumi)を筆頭に国際舞台で活躍してきた選手が名を連ねる。今回の代表には他の競技からの転向組も多く、中でも3月の国際大会「ネイションズカップ」香港大会でケイリンとスプリントで金メダルを獲得した太田海也(24)(楽天Kドリームス)には、日本自転車界悲願の金メダル獲得が期待されている。(小高広樹)

 「自転車に巡り合えて本当に良かった。向かい合ってきた全てをパリにぶつけたい」。パリ五輪に臨む太田海也は自転車競技を始めて、まだ4年。ボート競技で鍛えたパワーとあふれる向上心を武器に、世界屈指の強豪にまで上り詰めた。

 鍛え抜かれた体からのダッシュ力が何よりの強みだ。五輪の前哨戦でもある今年のネイションズカップでは、2月に開かれた第1戦の豪州大会でスプリントで金メダル、ケイリンで銅メダルを獲得。3月の香港大会では個人2冠を達成した。

 幼少の頃から運動が大好きだった。「スポーツで日本一になりたい」と地元岡山のボート強豪校、備前緑陽高に進み、3年時の2017年に全国高校総体男子ダブルスカルで優勝。期待されて日大へ進学したが、「ボートの日本代表選手の体を見て、自分は五輪に出られないと感じてしまった。これ以上成長できないと思った」と挫折。大学を辞め、あてもなく地元へ戻った。

 運命を変えたのは、「アルバイトに通うための自転車が欲しくて」立ち寄ったサイクルショップだった。ちょうど店員を募集中で、何かを感じて働き始めた。常連客との走行会や朝練で自転車の面白さにのめり込み、「自分が輝ける場所を見つけた」。プロを目指し、自転車店で働きながら鍛錬する日々が始まった。

 21年に競輪選手養成所へ入所した。競技はほとんど未経験で「周りは格上だらけ。でもどんな強い選手がいるのか、毎日ワクワクしていた」と大学を中退した時より、精神的にも成長。「自転車はトレーニングやレースに臨む気持ちさえあれば、才能がなくても戦うことができる」と、信念を持って向き合ってきた。

 五輪ではケイリン、スプリント、チームスプリントの3種目に出場する。中でも自信があるのは、1対1でトラックを3周して争う「スプリント」。仕掛けのタイミングの駆け引きが重要で、止まるくらいゆっくりと走ったかと思えば、最後は時速約70キロの全速力でゴールへなだれ込む。静と動のメリハリがある種目だ。「相手のふくらはぎの筋肉にちょっと すじが入る瞬間に仕掛けるとか、相手を支配しながら自分の力を出し切るところが魅力」と語る。

 長い競技人生を見据え、28年ロサンゼルス五輪以降も視野に入れたトレーニングメニューをこなす。「自転車競技は一生をかけたパズルみたいなものだと思う。人生をかけて自転車を極めたい。その第一歩として、パリで結果を出したい」。曲折を経てたどり着いた競技で活躍を誓う。

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