東京都議補選 既成政党への不信は危機的だ
読売新聞 / 2024年7月9日 5時0分
東京都議会の補欠選挙で、自民党は2勝6敗、立憲民主党は1勝2敗に終わった。都知事選の底流にもみられた有権者の既成政党への不信感が如実に表れたと言えるだろう。
都知事選では当初、現職の小池百合子氏と立民の前参院議員の事実上の与野党対決になる、といった予想が多かったが、結果は小池氏の圧勝。一方で、SNSを駆使した無所属の新人が立民を圧倒し、2位に躍り出た。
都議補選は9選挙区(各欠員1)で争われた。自民や立民が敗れた選挙区では、地域政党・都民ファーストの会や無所属などの候補が当選を果たした。
自民党は、欠員が生じる前は8選挙区で5議席を有していただけに、惨敗と言える。派閥の「裏金」事件で高まった党への不信感を
4月の衆院3補欠選挙で、自民党は不戦敗を含めて全敗した。その後の地方選も苦戦続きだ。
自民党は先の国会で、「政治とカネ」の問題を追及され続けた。政治資金規正法の改正は実現したものの、改正案をまとめる過程では党内、また公明党との調整が迷走し、不信感を招いた。
自民党群馬県連の大会では、複数の国会議員が公然と「トップがけじめをつけるべきだ」などと述べ、岸田首相の退陣を求めた。次期衆院選に向けて、こうした声は強まっていくだろう。
一方、立民も「政治とカネ」の問題を追及して自民の失点をあぶり出すことに終始したが、政策論争が置き去りとなり、支持を集められなかった。
既成政党が国民の要求に十分に応えられなかった結果が、都知事選での無所属新人の160万票超の獲得につながった、と言えるのではないか。
都知事選では、売名目的や悪ふざけのような候補も目立った。都議補選で、そうした候補は見当たらなかったが、今後行われる衆院選と参院選では、奇抜さを売りにする候補が各地で出てくる可能性もあり得る。
実際、前回参院選では、動画投稿サイトで人のスキャンダルを暴いて知名度を上げて当選し、国会に一度も登院しない参院議員が登場して除名となるなど、異常なことが国政でも起きている。
こうした状況を放置していたら、政治への信頼は失われる一方だ。与野党各党は、党運営のあり方や候補者の選定、育成などを見直し、党の体質改善に力を入れなければならない。
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