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世界一有名な柴犬、暗号資産「ドージコイン」モデル「かぼす」が旅立つ…飼い主「殺処分寸前から色んな奇跡起きた」

読売新聞 / 2024年7月10日 7時3分

世界で有名になるきっかけとなった一枚。かぼすが横目でカメラを見つめている(2010年2月)=佐藤さん提供

 暗号資産「ドージコイン」のロゴのモデル犬として知られる千葉県佐倉市の 柴犬 しばいぬ「かぼす」(雌)が5月下旬に天国へと旅立った。飼い主の佐藤敦子さん(62)がブログに掲載した写真をきっかけに人気となり、「世界一有名な柴犬」と呼ばれた。佐藤さんは「かぼちゃんと二人三脚でやってこられて本当に幸せだった」と振り返った。(渡辺亮平)

 佐藤さんとかぼすが出会ったのは2008年の秋だった。かぼすは廃業したブリーダーによって富里市の動物愛護センターに持ち込まれた犬の1匹。保護直後は爪が伸び、予防接種も受けていないなど、劣悪な環境で育ったことが明らかだった。

 殺処分される寸前だったが、「かぼす」と名付けて世話をしていたボランティアが近所に住んでいたことから縁を感じ、引き取ることを決めた。性格はおとなしく、自宅に迎え入れてからは少しずつ甘えてくれるようになった。

 かぼすを一躍有名にしたのは、佐藤さんが10年2月13日にブログに掲載した1枚の写真だった。ソファの上にちょこんと座り、横目でじっとカメラを見つめる姿が海外を中心に話題を呼んだ。画像は「Doge」という名が付けられ、世界中に広がった。

 その後も人気は衰えず、13年には、かぼすの画像をロゴのモデルにした暗号資産「ドージコイン」が登場。フィギュアなども販売された。モデルがかぼすだとわかると、「一目会いたい」と佐倉市を訪れる海外のファンも急増した。佐藤さんは「最初は驚き、ネット(の拡散力)に怖さも感じたが、おかげでたくさんの人に出会えた」と振り返る。

 「かぼすの人気を役立てたい」。そう考えた佐藤さんは21年6月、偽造や複製を防止したかぼすの画像7枚の元データをチャリティーオークションに出品した。落札額は計約5億円。お金は国際的な民間活動団体(NGO)に寄付し、南スーダンの学校校舎の建設費や、ベトナムの幼稚園などの環境整備費として使われた。「かぼすが子どもたちに希望を与えた。こんなにすてきなお金の使い方は他にないと感じた」と話す。

 世界的に有名になっても、「小さな家族」との日常は変わらなかった。1日2回の散歩を楽しみ、家で一緒にくつろぎ、時には全国を旅する。そんな生活が何年も続いた。だが、今年1月、かぼすは思うように歩けなくなった。約5か月間の闘病の末、5月24日、自宅で静かに息を引き取った。推定18歳だった。

 「殺処分寸前だったかぼちゃんには色んな奇跡が起きて、私の想像をはるかに超えて愛される存在になっていた。これからもみんなの心の中にいる、世界一幸せな犬だと思います」と佐藤さん。かぼすの散歩コース「佐倉ふるさと広場」には寄付でモニュメントが作られ、今も多くの人が追悼に訪れている。

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