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中国のブイ 海洋権益の保護へ警戒強めよ

読売新聞 / 2024年7月10日 5時0分

 津波を観測するためのブイだという中国の主張をうのみにして、何ら策を講じなければ海洋権益を奪われかねない。海上保安庁と自衛隊は、警戒監視を強める必要がある。

 四国南方の海底にある大陸棚「四国海盆」の海域に先月、中国の海洋調査船がブイを設置した。四国海盆ではレアメタルなど希少な鉱物資源が確認されている。

 海上保安庁が現地に向かう船を見つけ、政府は中国に、航行の目的など詳細な説明を求めたが、中国側は応じなかった。

 ブイを設置した後になって、中国は「津波観測用で、日本の大陸棚の主権的権利を侵害するものではない」と回答してきた。

 国連海洋法条約は、大陸棚の沿岸国に、海底で探査や資源開発を行う主権的権利を認めている。中国が日本の大陸棚を調査する場合には、日本に事前に通報し、同意を得る義務がある。

 他方、大陸棚の上部水域については、排他的経済水域(EEZ)なら沿岸国に海洋調査の管轄権があるが、公海の場合、どの国にも自由な調査が認められている。

 ブイが置かれた海域は公海だった。中国の主張通りであれば、国際法違反には当たらない。だが、津波観測という目的が本当なら、なぜブイを設置するまで、日本の説明要求を無視したのか。

 昨年7月、尖閣諸島沖のEEZ内にブイを設置したのも、同じ海洋調査船だった。政府はこのブイの撤去を再三求めているが、中国は何ら対応していない。

 近年、一方的に海域を開発し始めて構造物を造り、自らの権益を主張するのは、中国の 常套 じょうとう手段となっている。

 中国は20年以上前から、東シナ海の日中中間線付近でガス田を開発し、今では18基の海上施設を設置して天然ガスを採掘している。南シナ海では、岩礁を次々に埋め立てて軍事拠点化した。

 ブイを放置すれば後々、四国海盆も係争海域になりかねない。

 一方、日比両国の外務・防衛閣僚がマニラで会談した。中国を念頭に、米豪とも協力して海洋秩序の維持を図る方針を確認した。

 中国公船は、領有権を争うフィリピンの船に放水や衝突を繰り返し、緊張を高めている。多国間で連携し、中国に対処するのは現実的な選択肢と言える。

 日本は、フィリピンなど東南アジア諸国連合(ASEAN)に巡視船などの装備を提供するだけでなく、技術指導などで人材育成にも力を注いでいくべきだ。

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