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ラッパー・宇多丸が「名門私立中」で見たもの、「白ふんどしに愕然」…よく知らずに入った進学校になじめず

読売新聞 / 2024年7月12日 10時0分

ライムスターの宇多丸さん

 ビートに合わせて矢継ぎ早に言葉を つむぎ出す「ラップ」。ヒップホップグループ「ライムスター」のラッパー・宇多丸さん(55)は、アメリカで生まれたラップを日本に広めた先駆者の一人だ。音楽に夢中になった原点は、ある映画との出会いだった。(読売中高生新聞編集室 鈴木経史)

スター・ウォーズの衝撃

 「ヒップホップに出会う前、そもそも音楽を好きになった最初のきっかけは映画でした。小学3年生だった1978年、日本で初めて『スター・ウォーズ』が公開されたんです。たった2時間ぐらいの作品でしたが、それまでいいと思っていた他の映画やアニメ全てが色あせて見えるようになるほど衝撃を受けました。作品を見てからしばらくは、休み時間にクラスメートを捕まえて、『いかにスター・ウォーズが面白いか』を延々と語ったり、クラスの壁新聞で評論したりしてましたね(笑)。

 当時は、いまのようにサブスクのサービスもビデオソフトもないので、映画の感動をもう一度味わうには劇中曲を集めたサントラ(サウンドトラック)を聴くしかありません。映画を見てはサントラで色んなジャンルの音楽に触れて、そのうち今度は音楽にどんどんハマっていきました。映画と音楽という、いまの自分の軸になるものが決まったのは、この頃だったと思います」

映画や音楽の魅力に目覚める一方、小学生の頃は「学校が嫌で仕方なかった」という。

 「友だちもいたし、普段はみんな仲がいいんですけど、ランダムで『無視の日』が来るんですよ。ある日、突然みんなに無視されて、絶望的な気持ちで1日が終わったと思ったら、『ウソだよ〜』って言われる。いや、ウソってなんだよ…みたいな。自分が無視されるのはもちろん最悪だし、クラスメートが無視されてる時も加担したくないけど、自分がいじめられたくないから無視せざるを得ない。子ども社会とは言いながら、気持ちの悪い同調圧力みたいなものがあって、それがずっと嫌でした。

 反面、塾はすごく好きでした。変な同調圧力もないし、足の速い子よりも面白いことを言える子の方がイケてるっていう感じだったんですよね。勉強は全然できなかったけど、小学校とは違う環境に行きたい、受験をして私立の中学に行きたいと、ずっと思ってました」

よく知らずに入った巣鴨中は…

中学受験に挑んだ宇多丸さんは、中高一貫の男子校・巣鴨中学校(東京都豊島区)に合格する。数多くの著名人を輩出している進学校だが、校風が厳格なことで有名だった。

 「実は補欠の補欠で合格して、どんな学校かよく知らずに入ってしまったんですよね。当時の巣鴨は、定期試験の成績も全部貼り出されるようなピリピリした雰囲気でした。しかも、夏の臨海学校では白ふんどしで海を泳ぐという伝統があって、 愕然 がくぜんとしましたね。泳ぐのは普通の海水浴場だから同世代の女の子もいて、指さして笑われたりするわけです。もうネタにして乗り切るしかなかったですよ(涙)。

 部活は友だちや先生に勧められて、何でもいいやと思ってサッカー部に入ったんですが、まあ肌に合わなかった(笑)。サッカーなんてやったこともないし、興味もないし、そもそも球技全般が苦手だから、後輩にもバカにされるし…。でも、学校という閉じられた社会では、部活に入っていないと何となく下に見られる雰囲気があったんですよね。だから辞めるに辞められず、結局、小学生の時と同じように、 おろかな同調圧力にビクビクしながら過ごした3年間でした。

 せっかく受験をして進んだ中学だったのに、クラスもサッカー部も自分の居場所だとは思えませんでした。ただその分、音楽や映画が救いになって、ますますのめり込むようになっていきました」

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