欧州の新型ロケット「アリアン６」初号機の打ち上げ成功…日本の「Ｈ３」と競合相手になる可能性

初打ち上げに成功した欧州の新型ロケット「アリアン６」（ＥＳＡ提供）（日本時間１０日未明）

　欧州の新型主力ロケット「アリアン６」が日本時間１０日未明、初めての打ち上げに成功した。アリアン６は、日本の「Ｈ３」と同時期に開発された次世代ロケットで、世界の人工衛星打ち上げ市場における競合相手となる可能性がある。

　初号機（全長５６メートル）は、超小型衛星や実験機器を１０基以上搭載し、南米・仏領ギアナの宇宙センターから打ち上げられた。

　超小型衛星を分離後、推進剤タンクを加圧する装置が停止し、予定された上段エンジンの再点火ができないトラブルはあったものの、打ち上げ自体は成功した。

　アリアン６は昨年夏に退役したアリアン５の後継機で、欧州宇宙機関（ＥＳＡ）と欧州宇宙企業アリアングループが共同開発した。

　欧州の商業打ち上げを巡っては、一定数を担ってきたロシアのロケットがウクライナ侵略で使えなくなった。ＥＳＡにとっては、アリアン６を実用化して自律的な宇宙輸送手段を確保することは喫緊の課題だった。

　世界の打ち上げ市場においても、アリアン６は日本のＨ３や米企業の新型ロケットなどと競合する見込みで、市場を席巻する米スペースＸに次ぐ２番手争いが今後、激化しそうだ。