創設75年のNATOが首脳会議、結束と防衛能力強化を確認…ウクライナ防空兵器の追加供与も発表
読売新聞 / 2024年7月10日 11時54分
【ワシントン=田島大志、酒井圭吾】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が9日、米ワシントンで開幕した。初日はNATO創設75年の式典を開き、NATOのロシアや中国など専制国家の軍事的脅威を念頭に、結束や防衛能力強化の重要性を確認した。米独伊など5か国首脳は、ロシアに侵略されるウクライナに対し地対空ミサイルシステム「パトリオット」など防空兵器の追加供与を発表した。
式典は、1949年4月4日にNATO条約が調印された「メロン講堂」が会場になった。米国のバイデン大統領は加盟国首脳を前に、NATOは「世界の歴史上、唯一にして最も効果的な防衛同盟だ」と強調した。ロシアのウクライナ侵略が長期化する中、「この重要な瞬間に、我々は団結している。今回の会議で、我々の平和と繁栄に向けた将来のビジョンを確実する」と訴えた。
10日にはNATOの最高意思決定機関「北大西洋理事会」(NAC)を開き、冷戦終結後に縮小していた防衛産業の再強化策を協議する。ロシアとの対立の長期化を見据え、全32加盟国が自国防衛産業の基盤強化に向けた計画を立案することで合意する見通しだ。米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は9日の関連行事で「NATOの強みである技術革新への投資拡大に拍車をかけることになる」と意義を強調した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9日、ワシントンに到着しており、防空システムの必要性を訴える声明を出した。米国は加盟国と連携し、今後数か月の間に数十の防空システムを提供する方針を示した。
首脳会議最終日となる11日には、ウクライナとの安全保障協力を約束する「2国間協定」を締結した約20の国と機関の首脳間で、新たな支援グループ「ウクライナ・コンパクト」の創設を発表する予定だ。
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