バイデン氏の大統領選撤退を巡り賛否交錯…民主党両院議員が非公開で会合、意見集約は見送り
読売新聞 / 2024年7月10日 22時11分
【ワシントン=池田慶太】米民主党は9日、上下両院議員がそれぞれ非公開の会合を開き、11月の大統領選について意見交換した。6月のテレビ討論会で精彩を欠いたジョー・バイデン大統領(81)への懸念が相次いだものの、撤退要求の動きは予想されたほど広がらなかった。
ワシントンの民主党の建物にはこの日、下院議員が続々と集まった。バイデン氏が何度も言葉に詰まり、共和党ドナルド・トランプ前大統領(78)にまともに反論できなかったテレビ討論会以降、対面での議員会合は初めて。携帯電話の持ち込みが禁じられる厳しい情報管理の中、議員らは約2時間、現職大統領を党候補にとどめるべきかを巡って激しく議論した。
CNNによると、会合では約30人が発言し、バイデン氏への支持と批判が交錯したという。党下院トップのハキーム・ジェフリーズ院内総務は会合後、議員同士の率直な議論が「今週いっぱい続く」と述べた。上院の会合でも賛否が分かれ、意見集約は見送られた。
討論会後、党員や大口献金者から公然と候補差し替えを求める声が上がり、バイデン氏は瀬戸際に立たされていた。上下両院の大多数から撤退を突きつけられれば決定的な一撃となっていただけに、バイデン氏がひとまず直近の難局を乗り切ったとの見方が出ている。
バイデン氏は今回、生き残りをかけて猛烈な取り込み工作を進めた。8日には約60人のメンバーを抱える黒人議員グループに接触し、支持取り付けに成功した。中間派の議員に向けて結束を呼びかける一方、撤退を求める議員らに対しては「大統領選に出馬し、党大会で私に挑戦すればいい」と露骨に挑発し、異論の封じ込めを図った。
この結果、「内輪もめ」回避を優先する雰囲気が広がりつつある。7日の下院議員によるオンライン会合でバイデン氏に撤退を要求していたジェロルド・ナドラー議員は2日後の9日、一転して「バイデン氏は我々の候補者であり、彼を支持する」と表明した。
しかし、党内には依然としてバイデン氏への失望や不満が渦巻いている。マイク・クイグリー議員は会合後、記者団に「バイデン氏では勝てないのだから撤退するしかない」と吐き捨てるように言った。バイデン氏が選挙戦を続けても、9月に予定される第2回テレビ討論会を乗り切れないとの懸念は根強い。
バイデン陣営は民主党の組織を事実上掌握している。自身の選挙区への資金配分などで不利になる「報復」を恐れ、バイデン氏の撤退を望みながらも沈黙を保っている議員は多いとされる。党内には周囲の批判に耳を貸さないバイデン氏に不満を募らせ、「トランプ氏は選挙で圧勝し、上下両院を制するだろう」とあきらめの声が出始めている。
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