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離岸流が発生しやすい「ヘッドランド」、海水浴シーズン前に漫画で注意呼びかけ…茨城県警

読売新聞 / 2024年7月13日 11時52分

離岸流対策の漫画を紹介する玉造さん

 海岸に打ち寄せた波が沖に戻る離岸流が発生しやすいT字形の岬「ヘッドランド」周辺で、毎年のように起きる水難事故を防ごうと、茨城県警が注意を呼びかける漫画を新たに制作し、SNSでの発信を始めた。海水浴シーズンが迫っており、担当者は「幅広い世代に注意喚起ができれば」と期待を寄せている。(市川莉瑚)

 ヘッドランドは波による砂浜の浸食を防ぐための人工岬で、県内には神栖市から大洗町までの鹿島灘沿岸に34基設置されている。ヘッドランド周辺は一見すると波が穏やかに見えるが、離岸流が発生すると秒速は約2メートルにも達する。巻き込まれると、五輪レベルの水泳選手でも流れに逆らって泳ぐのは困難とされる。

 県警によると、過去10年の6〜8月に海で起きた水難事故129件のうち、36%がヘッドランド周辺で発生。若い世代が事故に遭いやすい傾向にあり、昨年発生した6件のうち4件は10〜30歳代だった。

 県警ではこれまでも、看板の作成やチラシ配布などの対策を講じてきたが、特に若い世代にはあまり効果が見られず、いかに啓発するかが課題になっていた。そこで始めたのが、SNSでの漫画の発信だ。

 「リガンリュウの群れがでたぞ」

 県警の公式X(旧ツイッター)に5月に投稿された漫画では、離岸流にちなんだ竜のキャラクター「リガンリュウ」がゴーグルをつけて登場。この大群が、海水浴を楽しむ子供をさらう様子がダイナミックに描かれている。こうした場面に合わせ、浅瀬でも大人が子供から目を離さないよう注意が呼びかけられ、離岸流に巻き込まれた場合は「岸と平行に泳ぐ」といった対処法も柔らかいタッチで紹介されている。

 漫画を制作したのは、県警の行政職員で、県民安心センター広報・受付係の玉造真帆さん(29)だ。警察署での勤務を経て、「得意のイラストを生かして広報の仕事に携わりたい」と3年前に県警内の公募で希望の職場に異動。これまで、自転車乗車時のヘルメット着用や横断歩道での歩行者優先を呼びかける漫画も手がけてきた。

 漫画制作に携わるまで、離岸流の存在を知らなかったという玉造さん。「まずは『リガンリュウ』という言葉の響きを知ってほしい」と、その波を竜のキャラクターに例える一方、「これだけは覚えてほしい」という注意点を吹き出しでまとめるなど効果的な注意喚起の仕方にもこだわった。

 「少しでも救える命があれば役立ちたい」。イラストや漫画の力を信じる言葉に力がこもる。

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