防衛省不祥事、自民が「増税」論議へ影響懸念…陸自日報問題では当時の稲田防衛相辞任も
読売新聞 / 2024年7月11日 7時4分
防衛省・自衛隊の相次ぐ不祥事を巡り、自民党内で懸念が拡大している。防衛力強化の進展やその財源を確保するための「防衛増税」の論議に影響する恐れがあるためだ。木原防衛相の責任論に発展しかねないとの懸念も出ており、政府・自民党は問題の実態解明と再発防止を急ぐ考えだ。
「事実」と認定
「今まで経験したことのないぐらい不祥事が続いている。一体何をやっているんだという強い思いを持つしかない」
10日に開かれた自民の安全保障調査会と国防部会の合同会議の冒頭、安保調査会長の小野寺五典・元防衛相はこう苦言を呈した。
防衛省は5日、海上自衛隊員が潜水艦の修理業務に絡み、川崎重工業から金品の提供や飲食接待を受けた疑いがあるとして、特別防衛監察の実施を発表した。
さらに、海自では安全保障上の機密情報「特定秘密」が不正に取り扱われた事例が多数確認されたり、潜水任務に就く複数の隊員が潜っていないのにもかかわらず、潜水手当を受給したりした問題が指摘され、防衛官僚にも部下へのパワハラ疑惑が浮上している。
同省の中嶋浩一郎官房長は合同会議で、いずれも「事実だ」と認めた。接待問題を除き、一連の不祥事の処分は12日にも発表される見通しだ。
疑惑の拡大警戒
接待問題を巡っては、国内で潜水艦を製造しているのは川重と三菱重工業だけで、防衛省側はこの日、三菱重工についても特別防衛監察の対象にすることを明らかにした。小野寺氏は「潜水艦以外の艦艇でも、同じようなことが行われていないかを確認してほしい」と求め、疑惑の拡大に警戒感を示した。
政府は厳しさを増す安全保障環境に対応するため、2023年度から5年間の防衛費の総額を43兆円に増やし、財源の一部は所得税などの増税を27年度までに行って賄う方針だ。
合同会議の出席議員からは、「納税者に負担をお願いしている中、このような不正があったとすればゆゆしき問題だ」との声が上がった。
防衛省の不祥事を巡っては、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報問題で17年、当時の稲田朋美・防衛相が監督責任を取って辞任した事例がある。
自民の防衛相経験者は「まさに異常事態で、早急に手を打たなければ傷口を広げることになる」と指摘した。
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