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小林愛実が復帰ピアノリサイタル…シューベルトの即興曲「わが子を思い」

読売新聞 / 2024年7月12日 17時0分

「温かく、キラキラした音を持ち、よく響くピアノが好みです」=野口哲司撮影

 ショパン・コンクール4位入賞から3年、結婚・出産を経た人気ピアニストの小林愛実(28)が、10日に池袋の東京芸術劇場で、復帰後初めて本格的リサイタルを開いた。プログラムのメインに選んだのは、最近集中して取り組むシューベルトだ。(松本良一)

 7歳でオーケストラと共演し、14歳でCDデビューを飾った天才少女は、今では成熟した音楽を聴かせる。変わらぬ魅力は音楽を直観的に捉える純粋さだ。

 一番好きな作曲家を尋ねると「一番美しいと感じるのはシューベルト」と答えた。「ハーモニーの微妙な移り変わりや繊細な歌心など、本当に純粋で汚れのない音楽。練習している時、胸がいっぱいになって涙がこぼれることもある」

 シューベルトのピアノ曲には「温かさや小さな幸せが込められている」。とはいえ、晩年の作品からは生と死の対比がいやおうなくにじみ出ている。リサイタル前半に弾く即興曲集D935もそうだ。

 異なる表情を持つ全4曲をコンサートで弾くのは初めて。「天国に近い明るさの中にも死の影があり、『生きるか死ぬか』を問いかけられている。それをファンタジーとして表現するのはとても難しい」と言う。

 救いは子守歌のように穏やかな第2曲だ。「生まれたばかりのわが子のことを思うと、温かく包み込んであげるような欲のない演奏ができると思う」。後半に弾くシューマンの「子供の情景」にも、「私が子供だった頃から感じていた『子供の視点』に『母の視線』が新たに加わった」と振り返る。

 子育てしながらの演奏活動には制約もあるが、「今は子供のことを第一に考えたい」と話し、しばらくは国内での活動が中心となりそうだ。11月には来日するトゥガン・ソヒエフ指揮のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団との共演も控えている。

 将来はヨーロッパに拠点を置き、オーケストラと共演を重ねるのが目標だ。「パリに一度は住んでみたい。まだ一度も弾いていないブラームスのピアノ協奏曲も弾けるといいな」

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