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白血病治療での骨髄移植後の合併症を悪化させる腸内細菌を特定、細菌を攻撃する酵素の合成も成功

読売新聞 / 2024年7月11日 22時7分

大阪公立大・杉本キャンパス正門

 白血病治療に伴う合併症を悪化させる毒性の強い腸内細菌を突き止めたと、大阪公立大と東京大医科学研究所のチームが発表した。この細菌だけを「狙い撃ち」できる酵素の合成にも成功し、新しい治療薬の開発につながると期待される。論文が11日、科学誌ネイチャーに掲載された。

 白血病の治療では他人の骨髄などから採取した造血幹細胞を移植するが、その後、移植した造血幹細胞から作られる免疫細胞が患者の体を「異物」とみなして攻撃し、下痢や皮膚がはがれる 紅皮症 こうひしょうなどを起こすことがある。「 移植片対宿主病 いしょくへんたいしゅくしゅびょう(GVHD)」と呼ばれる合併症で、患者の3〜5割で発症し、命に関わる危険性もある。過去の研究で腸内細菌の一種がGVHDの悪化に関わることが知られていた。

 チームは造血幹細胞の移植を受けた患者46人の便を採取し、その中に含まれているDNAを解析。その結果、GVHDを起こした患者にはこの腸内細菌が多く、その中に赤血球を溶かす強毒株がいることを突き止めた。この細菌は膜状のバリアを作る遺伝子を持ち、患者に投与される抗菌薬から逃れて増殖していると推定された。

 さらに、この細菌だけを攻撃する「バクテリオファージ」と呼ばれるウイルスの遺伝子も検出。このウイルスが作る、細菌を溶かす酵素の合成に成功した。今回見つかった強毒性の細菌をマウスの腸に定着させてGVHDを発症させると、25日間で半数近くが死んだが、酵素を投与すると死ななかった。

東京医科歯科大の東條有伸副学長(血液内科)の話「どの腸内細菌がどう悪化に関わるかを見いだした意義は大きい。既存の薬が効かない難治性GVHDに効く画期的な薬につながることを期待したい」

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