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旧統一教会判決 献金勧誘の悪質性を断じた

読売新聞 / 2024年7月12日 5時0分

 病気や加齢で判断能力の衰えた高齢者につけ込み、多額の献金を得たとすれば許されない。今後の被害救済につながる司法判断だと言えよう。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の違法な勧誘で献金させられたとして、元信者の女性の遺族が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が最高裁であった。

 女性は70歳代だった2005年以降、1億円以上を教団に献金し、公証役場で「返金や損害賠償を求める裁判を一切起こさない」との念書に署名・押印した。訴訟では、念書の有効性が争点になった。

 最高裁は、女性が長年、教団の影響下にあり、念書締結の半年後には認知症になっていることなどから、教団側が「女性の合理的な判断が困難になっている状態を利用しており、念書は公序良俗に反して無効だ」と述べた。

 判決は、念書の内容に女性が合意する様子を、教団側がビデオ撮影していたとも指摘した。念書締結は、女性が自主的に行ったのではなく、教団が主導したことを示すものだと判断したのだろう。

 被害対策弁護団によると、教団への高額献金などの被害者は170人を超え、損害額は50億円近くに上る。今回の女性のように、裁判を起こさないとする念書を交わしたケースもあるという。

 最高裁の判断は、念書の存在が障壁になり、これまで泣き寝入りしてきた元信者らの損害賠償請求も後押しするに違いない。

 最高裁は今回、身内の不幸を抱えた女性が土地を売ってまで献金した点を「異例」のことだと判断し、「献金額は、女性の生活の維持に無視できない影響を及ぼすものだった」と指弾した。

 そのうえで、教団側の献金勧誘の違法性について、高裁で審理をやり直すよう命じた。

 国は昨年10月、旧統一教会の解散命令を東京地裁に申し立て、裁判が続いている。今後、高裁が献金勧誘の違法性を認めれば、解散命令の判断にも影響しよう。

 教団の献金問題は、2年前に起きた安倍元首相銃撃事件で改めて注目を集めた。被害の防止に向けて、昨年1月には不当な献金勧誘を禁じる新法も施行された。

 ただ、国が新法に基づいて違反と認定した例はまだない。実効性を高めることが不可欠だ。

 日本司法支援センター(法テラス)は、被害者の弁護士費用を立て替える支援などを行っている。相談体制を充実させ、被害実態の一層の把握に努めてほしい。

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