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新紙幣、早くも「転売」 オークションサイト出品に法的問題は?弁護士に聞いた

J-CASTニュース / 2024年7月11日 11時0分

新紙幣、早くも「転売」 オークションサイト出品に法的問題は?弁護士に聞いた

写真はイメージ

1万円、5000円、1000円の3券種が2024年7月3日に改刷され、早くもオークションサイトで新紙幣の「転売」が横行している。

現金類の出品を禁じるフリマアプリもあるなか、Xでは「法律的には問題ないのかなぁ......」「古銭ならまだしも新紙幣って出品して良いもんなの??」などと話題に。法的観点からの見解を弁護士に取材した。

「直ちに法的な問題を生ぜしめるものではありません」

実際、オークションサイト大手「Yahoo!オークション」を確認すると多数の出品がみられた。本来の紙幣価値以上の販売価格が設定されているものも少なくなく、例えば未使用連番をうたう5000円札51枚が55万円といった高額出品も(5日昼時点)。

新紙幣をオークションサイトで販売することや、購入することに法的な問題はないのか。弁護士法人・響の古藤由佳弁護士は8日、J-CASTニュースの取材に対して、

「売り手から提供された情報が正しい情報であることを前提とした取引であれば、対象商品が現金・新紙幣であることをもって直ちに法的な問題を生ぜしめるものではありません」

と見解を示した。そもそもオークションとは「一般的に希少価値が高い商品について、売り手が対象となる商品について正しい情報提供を行ったうえで 買い手が、それを手に入れるために相当と思われる金額を提示し、最も高値を付けた買い手が商品を手に入れるという制度」であるからだという。

本来の紙幣価値以上で売られていても...?

古藤弁護士によると、売り手から提供された情報が正しく、買い手がその価格に納得して購入するのであれば、本来の紙幣価値以上の販売価格に設定されていた場合でも「取引自体に問題はありません」。

コレクションか否か、紙幣の新旧によって、結論に違いは出ないとする。このように詳説した。

「フリーマーケットとは異なり、一般的に、オークションサイトにおいては、何の変哲もない一般的な物をことさらに売りに出す、ということ自体が通常では考えられず 何らかの特徴から希少価値があるものが出品されています。

この場合、買い手は、社会で流通させる金銭を取得する、という目的でなく あくまでも価値ある物としてこれを取得する目的であることが推認されるため 一般的には後述するようなマネーロンダリングの可能性も低いものと考えられ オークションサイトでのやり取りも認められているのだと思います」

「オークション運営側は十分な対策をしている」

希少性がある商品だとしても、紙幣をオークションで転売することは、場合によってマネーロンダリングに利用される可能性がある点について、「オークション運営側は十分な対策をしていることと思います」とも。具体例を挙げながら下記のように説明した。

「例えばyahoo!オークションを運営しているヤフー株式会社などのオークション運営者は、『古物せりあっせん業者』(古物営業法2条2項3号)として、出品者の本人確認を行ったり、取引の対象となる商品について『不製品の疑いがあると認めるとき』は、警察官への申告義務がありますし、オークションのガイドライン内にも、『一度取引が完了した場合でも、後の審査で取引が取り消される場合がある』とされていることからも、新札か否かにかかわらず、現金の取引については常に慎重に判断されている印象です」

なお、Xでは新紙幣の取引を介したクレジットカードの現金化についても懸念があがっていたが、少なくともYahoo!オークションに関しては「アンティーク、コレクション>貨幣」カテゴリで出品された商品にクレカ払いは利用できないようになっている。

どんな違法行為が考えられる?3ケースを紹介

先述のとおり取引自体に問題はないというものの、オークションで違法行為が行われる可能性はないのだろうか。古藤弁護士は次の3ケースを挙げた。

まず1つ目は、「売り手が、商品についての情報を偽って 実際よりも高い価値があるように偽ること」。これは「買い手が商品を購入するか否かを判断する場合にカギとなる重要な情報を偽って買い手にお金を支払わせたことになる」とし、詐欺罪(刑法246条1項)にあたるという。罪が成立した場合、罰金刑はなく、10年以下の懲役刑に処される。

2つ目は「売り手が、一部の買い手と共謀するなどして、不当に商品価格を操作すること」(吊り上げ行為)。後日共謀が明るみに出た場合は「最終的な買い手に対する詐欺行為」になり得るという。ただ、オークションにおいては最終的に「買い手が、商品に吊り上がった価格相当の価値があると信じて取引をしたことになる」ため、1つ目に比べて犯罪は成立しづらい状況にあると考えられるという。

3つ目は、売り手が事業者の場合について。古藤弁護士は下記のように説明した。

「商品の表示や価格に関する文言について、実際よりもかなりお得な取引であると買い手に誤認させるような内容であった場合には景品表示法違反(優良誤認表示・有利誤認表示)として、処罰されることになります。

この場合には、問題のある広告(出品された商品情報)が差し止められたり、場合によっては対象商品の売り上げの数パーセント相当額を課徴金として納付させられるなどのペナルティがあります」

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