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「各事業の持つ要素技術に新たな価値、バラバラに扱うのではなく融合させていく」…ジェイテクト・近藤禎人社長

読売新聞 / 2024年7月14日 13時27分

インタビューに応じるジェイテクトの近藤社長(愛知県刈谷市で)

 ジェイテクトは、トヨタ自動車グループでステアリングや軸受けといった自動車部品のほか、生産機械を手掛ける。各事業の要素技術を一つに束ね、新たな付加価値の創出を目指す。トヨタ出身で社長に就任した近藤禎人氏が読売新聞などのインタビューに答えた。(杉本要)

入社35年間、一貫して生産技術畑

 ――トヨタではどんなキャリアを積んできたか。

 「入社して35年間、ほぼ一貫して生産技術畑を歩んできた。2000年代には、北米で4速のオートマチック車の変速機のプロジェクトがあって赴任した。

 帰国後は、電池のような電動化にかかわる生産技術の立ち上げも担当した。ほかの駆動部品も担当し、20年からはモノづくり開発センターという組織の設立に携わった。最近話題になっている(複数の部品を一体成型する)ギガキャストの開発にも加わっている。

 ジェイテクトとは、リチウムイオン電池の生産設備で20年ほど一緒に仕事をしており、社長拝命はうれしい限りだ」

 ――優先して取り組む課題は。

 「1月にジェイテクトに顧問として来て、半年間に感じたのは、自動車部品や軸受け、工作機械などの事業部がそれぞれ強い要素技術やノウハウを持っていることだ。しかし、それがほかの事業に使われていない。

 各事業の持つ要素技術は、コモディティー( 汎用 はんよう品)化し、付加価値のレベルは落ちつつある。新たな価値を作るには、要素技術をバラバラに扱うのではなく、うまく融合させることが大切だ。

 現在、各事業の要素技術を一つにまとめた『テクノロジー・プラットフォーム(技術基盤)』を作ろうとしており、これを基に、オンリーワンだといえる解決策を生み出していきたい。8月に予定する新しい中期経営計画を発表する場で詳しく説明したい」

受け身の仕事の体制、変えていく

 ――自動車業界では、ソフトウェアの更新によって性能を高めるSDVの開発が盛んになっている。

 「ジェイテクトの商品にも大なり小なり影響がある。顧客である自動車メーカーとの会話を通じて、顧客が求めているものを感じ取る必要がある。今までのような受け身の仕事の体制から、もう少し積極的にお客様に寄り添い、困ったことを解決する。その推進力がテクノロジー・プラットフォームになるのではないか。新しい車づくりに対して、しっかりと提案できる会社にしていきたい。

 SDVは、ジェイテクト1社だけで対応できるわけではない。すべきでもない。同じトヨタグループのデンソーやアイシンと協業を目指す役割も果たしたい」

 ――トヨタグループで相次いだ認証不正をどう受け止めるか。

 「今回の不正は、われわれも他人事と思わず、重く受け止めている。幸い、そうした認証に関する不正は見つかっていない。昨年グループで行ったふるい分けの結果、改善しなければいけない部分も出てきた。改めて出てきたものに対して、自分のこととしてとらえなければいけないと思っている。

 今回は認証の話だったが、お客様に正しい品質の製品を届けることは変わらないと思っている。豊田章男会長が話したような、仕事のプロセスを、モノと情報の流れを示した図を使って分析しようとしている。リードタイムが長いとか、滞留があるとか、品質基準が決まっていないといったところが散見される。見える化して、品質にかかる部分を明確にしたい」

SDV 通信機能を通じて、機能や性能を高める自動車。所有者が車を購入した後にディーラーに持ち込まずにソフトウェアが更新される。米テスラが考案し、自動車業界で注目を浴びている。「ソフトウェアで定義された車両」を意味する英語のSoftware Defined Vehicleの略。

◆近藤禎人氏(こんどう・よしひと) 1988年大阪府立大(現大阪公立大)院修了、トヨタ自動車入社。パワートレーンカンパニー統括やモノづくり改革領域長、モノづくり開発センター長などを経て、2024年6月からジェイテクト社長。愛知県出身。

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