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かまれて発症、ほぼ死亡の怖い「狂犬病」…国内では70年近く確認されず

読売新聞 / 2024年7月13日 5時0分

 [New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「狂犬病」。

 愛犬家でなくとも、「狂犬病」という病気は耳にしたことがあるだろう。犬にかまれて人にうつることが多く、発症すればほぼ死亡する怖い感染症だ。国内では70年近く確認されていないが、油断はできない。

かまれると発症 致死率「100%」

 群馬県伊勢崎市の駐車場で5月下旬、狂犬病の集団予防接種が行われ、獣医師が犬の背中に手際よく注射針を刺していた。市内では2月、未接種だったペットの四国犬が逃げ出し、公園などにいた7〜63歳の男女12人にかみつき、けがを負わせた。20日後に検査で狂犬病は陰性だと発表されたが問題となった。集団接種にビーグルを連れてきた前原良子さん(73)は「予防は飼い主の義務だ」と話す。

 狂犬病はウイルス性脳炎で、唾液にウイルスがまじった動物にかまれると感染する。潜伏期間は1〜3か月程度。発熱や頭痛が始まり、知覚異常や幻覚を引き起こした末、筋肉などがけいれんし、呼吸困難に陥る。

 かまれた後、早期のワクチン接種で助かる可能性があるが、発症すると致死率はほぼ100%だ。すべての哺乳類に感染する可能性があるが、人から人への感染は通常の生活を送る上ではない。ほとんど犬を介して広がるため狂犬病と呼ばれる。

 かつては国内で大流行した。関東大震災の翌年の1924年には全国で4000匹以上の犬が感染したとされ、人の感染も相次いだ。野良犬の捕獲や予防接種の推進が図られ一時落ち着くが、第2次世界大戦の時期に再び流行した。

 戦後の50年に狂犬病予防法が制定され、飼い主に対し、犬の登録や予防接種などが義務付けられたことで発症数は激減。感染は同年の約850匹から減少し、56年に人間と犬、57年に猫の発症確認が最後となっている。

 予防注射済票などを首輪などに着けるのも飼い主の義務だ。接種の有無がすぐわかるためだ。こうした義務を果たさない場合は罰金が科せられる。伊勢崎市の事案でも、飼い主の男性(62)は同法違反容疑などで書類送検されている。

 日本が島国だという点も、感染を抑えられている要因だ。同法の検疫対象は犬や猫、キツネ、アライグマ、スカンクで、狂犬病が続く国や地域から動物を国内に持ち込む際は、厳しい手順が決められている。

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