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防衛省不祥事 信頼裏切る前代未聞の事態だ

読売新聞 / 2024年7月13日 5時0分

 機密情報をずさんに扱ったり、行ってもいない訓練の手当を受け取ったり。挙げ句の果てに、職場での無銭飲食やパワハラも起きていた。

 規律の緩みは甚だしい。防衛省・自衛隊は組織を総点検し、再発防止策を徹底する必要がある。

 木原防衛相が、防衛省・自衛隊の様々な不祥事を理由に、計218人を処分した。

 事務方トップの防衛次官のほか、自衛官トップの統合幕僚長、陸海空3自衛隊の幕僚長や情報本部長が含まれている。国防を担う幹部が軒並み処分を受けるのは、前代未聞の事態だ。

 最多の119人の処分者を出した事案は、安全保障上の機密情報である「特定秘密」の不適切な取り扱いだ。ほとんどが海上自衛隊で起きていた。

 海自では、38隻の艦艇で、特定秘密を扱う資格のない隊員が、コンピューター画面に表示された他国艦船の位置情報など特定秘密を見聞きしていた。

 海自の艦長の中には、資格のない隊員には特定秘密に触れさせないようにしていた者もいたが、多くの艦長はそうした意識が希薄だった。無資格の隊員を通じて他国の艦船情報が外部に 漏洩 ろうえいすれば、他国艦船が危険にさらされる。

 今回、外部への情報漏洩は確認されていないというが、軽率とのそしりは免れない。

 同盟国や友好国の信頼も失いかねず、今後、情報共有に支障が生じる恐れがある。

 海自ではまた、潜水士が訓練の回数や時間を偽り、潜水手当を不正に受給していたとして74人が処分された。不正額は過去6年間で約4300万円に上るという。

 このほか、海自の基地内の食堂で、代金を支払わずに食事していた22人が処分を受けた。

 自衛隊員が公金を不正に受給するようでは話にならない。減給の懲戒処分を受けた酒井良・海上幕僚長が、引責辞任を表明したのは当然である。悪質なケースについては刑事責任を追及すべきだ。

 海自を巡っては、潜水艦の修理業務に絡み、隊員が川崎重工業の社員から飲食や金品の提供を受けていた疑惑が浮上し、特別防衛監察の実施が決まったばかりだ。

 なぜ海自で不祥事が繰り返されるのか。海自だけなのか。何が組織の緩みを生じさせたのか。不正の根を断たねばならない。

 処分されたのは約25万人の自衛官の一部だとはいえ、その不正行為が、自衛隊全体の信頼を傷つけていることを猛省すべきだ。

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