トランプ氏が右耳に白いガーゼ姿で共和党大会に姿見せる…会場は厳しい警備で緊張感に包まれる

　【ミルウォーキー（米ウィスコンシン州）＝淵上隆悠、田島大志】米共和党大会が１５日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開幕し、ドナルド・トランプ前大統領（７８）が党の大統領候補に正式指名された。トランプ氏は復権を目指し、１１月５日投開票の大統領選で民主党の候補と戦う。副大統領候補には、この日トランプ氏が起用を発表したＪ・Ｄ・バンス上院議員（３９）が指名された。

　党大会はトランプ氏がペンシルベニア州バトラーで右耳に銃撃を受けた２日後の開催で、厳しい警備の下、緊張感に包まれた。会場では事件で犠牲になった男性を悼み、黙とうがささげられた。トランプ氏は「狙撃犯が私の予定を狂わせることはない」と述べ、１４日にミルウォーキー入りした。

　１５日夜には会場にも現れ、柔らかな表情を浮かべながら支持者に手を振った。負傷した右耳には、白いガーゼのようなものをつけていた。大会最終日の１８日に指名受諾演説を行う予定だ。

　大統領候補の指名投票では各州・地域の代議員が候補者への投票数を読み上げる「点呼投票」で、トランプ氏が全２４２９票のうち２３８７票を獲得。残りの票は、指名を争った別の候補に投じられるなどした。

　トランプ氏は自身の指名に先立ち、オハイオ州選出上院議員のＪ・Ｄ・バンス氏を副大統領候補にするとＳＮＳで明らかにした。「私が米国を再び偉大にするのを助けるため、彼はできることをすべてやるだろう」と強調した。

　バンス氏は、製造業が衰退した「ラストベルト」の一つである同州の貧困に苦しむ白人労働者の姿を描いた２０１６年出版の回想録「ヒルビリー・エレジー」がベストセラーになった。１７日に受諾演説を行う見通しだ。

　トランプ氏には「ランニングメート（伴走者）」とも呼ばれる副大統領候補にバンス氏を据えることで、１６年大統領選で勝利した原動力になった白人労働者層の支持を改めて集める狙いがあるようだ。ただ、バンス氏は政治家に転身してまだ１年６か月で、政治経験の乏しさが不安材料となる。

　１５日には党が大統領選に向けて策定し、事実上の公約となる綱領も採択された。エネルギー生産規制の撤廃や南部国境の「封鎖」などが柱で、トランプ氏の主張が色濃く反映された。

　大会期間中は、トランプ氏と指名を争った穏健派のニッキー・ヘイリー元国連大使（５２）らも演説する予定で、大統領選に向けて党の一体感を演出する方針だ。