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学習用端末が収集した児童・生徒情報の管理、全国調査を開始…文科省が適正化促す

読売新聞 / 2024年7月17日 5時0分

[データは誰の手に]

 学習用端末で収集される小中学生の個人情報が一部自治体で不適切に管理されている可能性のある問題で、文部科学省は16日、全国自治体を対象に実態調査を始めた。個人情報の取り扱い状況を把握し、適正な管理の徹底を促す。

 文科省は「GIGAスクール構想」により小中学生に1人1台配備した学習用端末を通じた子供の氏名や学習履歴などの取得・管理を、自治体が主体となって行うべきだとの立場だ。だが一部の自治体で、端末に学習アプリ「スタディサプリ」を提供する「リクルート」(東京)に個人情報を直接取得・管理させていることが読売新聞の取材で明らかになっている。同社が取得した個人データは、一般向けに販売している同アプリの機能改善にも使われていた。

 実態調査は都道府県と政令市、市区町村の約1800教育委員会に対して実施。アプリを通じた個人情報の取得・管理を、「教委・学校」「民間事業者」のどちらが担っているか回答させる。委託先となっている民間事業者を含め、個人情報を海外で取り扱っているかどうかを確かめているかも問う。

 文科省は、海外での情報保管は「日本の法令が適用されない場合がある」として、自治体に対し慎重な対応を求めている。リクルートが取得した個人データの一部は、保護者に十分な説明のないまま13か国・地域のいずれかの事業者などに委託されていた。

 文科省の実態調査についてリクルートは16日、読売新聞の取材に「コメントする立場にはないが、今後も児童・生徒にとってより良い教育環境の実現に取り組む」と答えた。

 学習用端末から収集される個人情報を巡っては、改正個人情報保護法(昨年4月施行)で義務付けられた利用目的の特定や明示をしていない自治体が一部あることも本紙報道で判明している。実態調査では、こうした問題も含め、個人情報の取得や利用、提供、保管など一連の対応を確認する。

 文科省は年内に結果を取りまとめ、公表する予定。

一部の自治体「リクルートに確認」

 読売新聞の取材では、今年度に少なくとも14自治体がリクルートの学習アプリ「スタディサプリ」を学習用端末で利用している。本紙の報道を受けて、一部の自治体は、子供の個人情報の取り扱いをリクルートに確認するなどと話した。

 全69校の市立小中学校で約2万9000人が同アプリを利用する岐阜市。リクルートが子供の個人データを一般向けに販売している同アプリの機能改善に利用していることについて、担当者は「今後リクルートに細かい内容を確認し、保護者に丁寧に説明していきたい」と話した。

 同市では、個人データが海外の事業者に委託されていることを知らない保護者もいる。市は今後、学習用端末で取得される個人情報の内容や利用目的について保護者に書面を配布して説明する予定だといい、担当者は「(端末で)利用している全てのサービスの個人情報の取り扱いについて再度確認したい」と語った。

 市内の市立全6中学校、約590人が同アプリを利用している広島県安芸高田市は、リクルートが児童・生徒のデータの一部を海外に委託していることを把握していなかった。文科省の全国調査について「リクルートと連絡を取りつつ適切に対応したい」と話し、すでに担当者がリクルートと連絡を取り始めているという。

 全中学校15校で約3300人が利用する愛媛県今治市は全国調査について、「調査の内容を見てから回答を検討したい」とする。リクルートが一般向けに販売する同アプリの機能改善に個人データを使用していることについて「委託業務の範囲内」とするが、個人情報の安全性などについて説明する書面を保護者に配布することも検討しているという。

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