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江戸時代におしゃれアイテムだった「うちわ」、今ではアイドル推し活や応援グッズにも

読売新聞 / 2024年7月17日 5時0分

 [New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「うちわ」。 

 暑い夏に手放せないのがうちわ。古代には祭礼などで使われていて、あおいで涼を取るという使い方は江戸時代あたりに始まったのだという。最近では、アイドルの「推し活グッズ」にも使われるなど、活躍の場が広がっている。

中国伝来 江戸時代から生活雑貨

 うちわメーカーなどで作る「全国 団扇 だんせん扇子カレンダー協議会」(東京)などによると、うちわは中国から伝わり、弥生時代から古墳時代の古墳で見つかっている。祭事や儀礼に用いられていたとみられる。奈良県明日香村の高松塚古墳で発見された極彩色の「飛鳥美人」が持っているのが、当時の柄の長いうちわだ。奈良時代や平安時代の貴族社会では、身分の高い者が顔を隠すためにも使われていたとされる。

 戦国時代に、武将が合戦を指揮するために使ったのが「軍配うちわ」。木製で漆塗りのものが主に用いられていたようだ。

 庶民に普及したのは江戸時代だ。あおいで風を送るほか、かまどの火おこしにも使われるようになるなど、身近な生活雑貨になっていく。デザインも多彩になり、江戸前期には、判じ絵のうちわが京都や大坂などで流行した。やがて江戸でも人気となり、歌舞伎役者を描いた役者絵や、美人画、風景画など、多様なデザインのうちわが出回るようになった。

 うちわに描かれる浮世絵は「 団扇 うちわ絵」と呼ばれた。7月28日まで「国芳の団扇絵」展を開いている太田記念美術館(東京)の主幹学芸員、赤木美智さんによると、江戸時代後期に活躍した浮世絵師、歌川国芳で約610点、同時代の歌川広重で約550点の団扇絵が確認されているという。

 うちわを持つ女性が描かれた浮世絵もあり、赤木さんは「うちわは、江戸時代には既におしゃれアイテムになっていたのでは」と想像している。

 江戸時代からうちわや扇子を作り続けている老舗「伊場仙」(東京)社長の吉田誠男さんによると、江戸時代には、芝居小屋で役者を描いたうちわが売られていたり、流行の柄を絵師に描かせたうちわを着物問屋が配ったりしていたという。

 現代では、うちわはアイドルの応援グッズや企業のノベルティーとして使われているが、吉田さんは「その原点は江戸時代にあったのかも」と笑顔を見せた。

 最近のアイドルのライブでは、推し活や応援のグッズとしてうちわを見かけるようになった。顔写真を印刷して販売されたり、ファンがメッセージを書いて手作りしたりしたものだ。

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