【2025年卒就活生】7月1日内定率88%、終盤戦に...政府が禁じた「オワハラ」実情は? 専門家アドバイス「まだ大丈夫、あきらめるな!」
J-CASTニュース / 2024年7月16日 20時6分
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さあ、面接頑張ろう(写真はイメージ)
2025年卒大学生・大学院生の就職活動が終盤戦に入った。
リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2024年7月10日に発表した「就職プロセス調査(2025年卒)『2024年7月1日時点内定状況』」によると、7月1日時点での内定率が88.0%と、現行の就活スケジュールになった2017年以降で最高となった。
まだチャンスはある、焦らずにしっかり就活を進めようと、同研究所所長の栗田貴祥さんがアドバイスする。
「オワハラ」の一方、内定承諾期限を柔軟にする企業も多い
就職みらい研究所の調査(2024年7月1日~4日)は、2025年卒業予定の大学生(3050人)と大学院生(856人)の合計3906人が対象。7月1日現在の内定率(大学生のみ)は88.0%(前年比4.8ポイント増)と、6月1日時点より5.6ポイント高くなった【図表1】。
理系が90.6%と、文系の86.9%を引き離した。また、女性が88.1%と、男性の87.1%を上回っている。女性は4月までずっと男性より低かったから後半に入ってからの追い込みが目立つ。
内定取得企業数は平均2.43社。2社以上から獲得した人が64.9%。また、内定保有企数は平均1.16社と、ここにきて絞り込みが進んだ。
一方、進路確定率も75.0%(前年比5.3ポイント増)と、現行の就活スケジュールとなった2017年以降最高レベルになっている。
ところで、政府は2023年4月10日、就職活動を行なっている大学生に対する企業の「オワハラ」(就活終われハラスメント)が深刻になっているとして、2025年卒の大学生から禁止することを決めている。
調査では、内定を取得したことがある学生に、「オワハラ」を受けたことがあるか聞くと、「ある」と回答した学生は7.7%に達した【図表2】。
また、内定取得先企業の内定承諾期限を見ると、「承諾期限はなかった」(22.1%)が最も多く、次いで「2週間以上~1か月未満」(21.3%)、「2週間以上~1か月未満」(21.3%)と続いた【図表3】。
ただ、内定承諾期限については、「設定はされているが、悩んでいることを伝えれば柔軟に対応してくれる企業が多かった」「内定後、オンラインでの打ち合わせがあり、就活を続ける旨を伝えて希望に合わせた期限を設けてもらった」などの声があった。
就活早く終われば、「学び」と「働く」の好循環に
早いペースで進む就職活動、焦らずに自分に合った会社を見つけるにはどうしたらよいか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった就職みらい研究所所長の栗田貴祥さんに話を聞いた。
――こんなにもスピードアップした理由は、ズバリどこにあるのでしょうか。
栗田貴祥さん たしかに、7月1日現在の内定率は88.0%と最高値となり、前年の同時点の内定率83.2%と比べ、5ポイントほど高くなっています。この内定率の高さの背景には、昨今の人手不足により、企業の採用意欲がより一層高まっていることがあると考えております。
ただ、現行の就活スケジュールとなった2017年卒以降における7月1日時点の内定率は、ここ数年、8割を超えてくることが多く、7月以前の内定率調査の結果と比べると、一定、その数値は落ち着いてきている印象があります。
――スピードアップしたことで、学生にとっては就活が早く終わり、学業に専念できるというメリットと同時に、学業が本格化する3年生のうちから就活に集中しなくてはならないというデメリットがあると思います。学生にアドバイスをお願いします。
栗田貴祥さん 学生のみなさんの本分は、学業でありますし、学業以外のアルバイトやサークルなどの課外活動でも充実した学生生活を送ることが、これから豊かな人生を歩んでいく上でも非常に重要だと思います。
学業にしっかり取り組む中で、将来の「働く」を見据え、自分なりの選社軸を早期に固めることができた人は、早い段階から活動し、納得のいく就職先を決定してもよいと思います。
就職活動自体が早く始まっても、早く終了できればその後の学生生活で将来の「働く」を意識した主体的な学びや課外活動に注力することもでき、学ぶと「働く」の好循環を生み出すことは可能です。
まだ多くの企業が採用続行中、あわてず納得の1社探そう
――将来の自分の姿にまだ迷っている学生は、どうしたらよいでしょうか。
栗田貴祥さん 一方で、自身の将来のありたい姿や、やりたいことについて、まだ考えがまとまりきっていないという学生は、学業や課外活動を通じ、じっくりと、企業を選ぶための自分なりの選社基準を考えた後に、慌てることなく就職活動を進めていけばいいと思います。
一人ひとりの価値観や置かれている環境も違う中で、「自分らしい」意思決定ができるタイミングは学生それぞれによって違って当たり前です。一律的な「就活スケジュール」に振り回されることなく、充実した学生生活を送る中で、自分らしい社会への一歩が踏み出せるように、しっかりと計画的に就職活動を進めていってもらいたいです。
――政府が「オワハラ」を禁止したのに、「オワハラ」があったと答えた学生が7.7%もいました。このことはどう思いますか。
栗田貴祥さん いわゆる「オワハラ」を行うことで、進路決定に悩む学生を追い込む状況をつくることは、絶対にあってはいけないと考えています。「オワハラ」経験に関して、当研究所で調査をしたのは今回が初めてのため、経年比較はできませんが、オワハラがあったと回答した学生が7.7%いたことは残念に思います。
学生と企業のミスマッチを防ぐためにも、企業の皆さんは、内定を出された学生の進路決定に対して、学生に寄り添い、悩みや疑問を解消しながら、学生の個々の状況に応じて柔軟にご対応いただくことを期待します。
――まだ、1社も内定をもらっていない学生は、これから何に一番心がけて就職活動を進めていったらよいでしょうか。
栗田貴祥さん 7月時点で、新卒採用の募集をしている企業は、まだまだ多く存在します。それほど悲観的になる必要はありません。また、ひと通り、計画していた選考活動を終えた企業も、採用計画の充足状況によっては、予定数確保のため、追加の募集などを行うことが考えられます。
就職活動を継続している学生の皆さんは、興味・関心のある企業の採用ホームページなどを確認しつつ、納得できる進路決定に向けて活動を進めていきましょう。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
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