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能登被災者「偽の救助要請なければ…救えた命あったかも」、対策求める「なんでもやってほしい」

読売新聞 / 2024年7月17日 10時13分

住所とともに偽の救助要請が書き込まれた自宅の前で当時を振り返る男性(15日、石川県輪島市で)=スタッブ・シンシア由美子撮影

 総務省の有識者会議が16日、インターネット上の偽情報対策などに関する報告書案を公表したことを受け、偽情報の拡散により被害を受けた人たちからは、対策の進展を求める声が上がった。報告書案は、偽情報の削除対応などの迅速化や、手続きの透明化をSNS運営大手に求めるもので、いかに実効性を確保させるかがカギを握る。

命にかかわる

 「自宅に来てくれた人たちが本当に救助を待っている被災者の元へ向かえば、救えた命もあったかもしれない」。1月の能登半島地震で、<足を挟まれて出られません>などと救助を求める偽の投稿が、自宅の住所とともにX(旧ツイッター)で拡散された石川県輪島市の自営業男性(47)は今もそう憤る。

 地震発生後、自分や家族は無事だったが、投稿に記載された自宅の住所をもとに警察や近隣住民が相次いで救助に駆けつけた。偽の投稿は地震から半年以上が過ぎた今もXに残っている。だが、どこに削除要請をすればいいか窓口は分からない。男性は「災害が起きるたびに偽情報が広がり、当事者が迷惑を被る。できる対策はなんでもやってほしい」と訴える。

「妥当な内容」

 政府の偽情報対策はこれまで「表現の自由」を尊重する立場から、SNS運営大手の自主的な取り組みに委ねられてきた。しかし能登半島地震でウソの救助要請が広がったことなどが問題視され、総務省の有識者会議が2月から運営企業への聞き取りを実施してきた。

 今回の報告書案は「事業者による自主的な取り組みのみには期待できない」と強調。中でも違法性があったり、人の生命、身体、財産に重大な悪影響を与えたりするような偽情報は運営企業に対し、具体的な措置を求めるべきだと指摘した。

 削除などの対応については、申し出があった場合、一定期間内に判断し、申請者に通知することや、対応に当たる人員や体制を公表することを盛り込んだ。

 偽情報に詳しい桜美林大の平和博教授(メディア論)は報告書案について「情報空間の汚染の広がりに対し、今回の整理は妥当な内容だ。スピード感のある議論が行われた」と評価する。

実効性の担保を

 報告書案は、急増する著名人のなりすまし広告による詐欺被害を踏まえ、運営企業に広告の事前審査や、掲載後の停止の基準を策定し、公表することも求めた。

 自身のなりすまし広告が多数掲載されている慶応大の岸博幸教授は、昨年秋頃から運営企業に削除要請をしてきた。すぐ削除する企業もあれば、対応しない企業もあったという。

 法整備も視野に、報告書案は罰金や課徴金などを科す対応も検討すべきだとした。岸教授は「海外の事業者は、罰則がなければ従わない。政府は、実効性をどう担保するのかを明確にしてほしい」と訴える。

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