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池江璃花子100メートルバタフライの軌跡…18歳で日本新記録、闘病からの復活

読売新聞 / 2024年7月27日 11時10分

 パリオリンピックの競泳女子で3大会連続の五輪出場となる池江璃花子(横浜ゴム)が、日本時間27日夜に、日本代表の先陣を切って女子100メートルバタフライ予選に登場する。

 短水路やリレー種目も含めて十数個の日本記録を持つ池江が最も得意とするのが、この100バタフライだ。現在持つ日本記録は、2018年8月のパンパシフィック選手権で金メダルを獲得した時の56秒08。「前半から積極的に行って、後半は粘る」という想定通りのレース展開。25メートル付近でトップに立つと、折り返しは世界記録ペースで泳いだ。「夢」とまで言う55秒台が目前に迫り「プラン通りの泳ぎが出来た」と、納得の表情を見せた。

 この大会まで主要な国際大会では結果を残せていなかった池江だが、この年、4月の日本選手権からこのパンパシまでに日本記録を4度更新し、この間に記録を0秒78も縮めた。

 2019年2月に白血病と診断されたことを公表し、療養を経て実戦に復帰したのは翌20年の夏。さらに復帰後に初めてバタフライを泳いだ21年2月の東京都オープンでは59秒44で3位。後半に失速したが、五輪代表選考会を兼ねる4月の日本選手権の参加標準記録を突破した。

 迎えた日本選手権で、池江は涙の復活を果たした。100バタフライ決勝で57秒77をマーク。日本水泳連盟が定める400メートルメドレーリレーの派遣標準記録を上回り、東京五輪代表に内定した。競技後のインタビューでは涙ぐみながら「自分が(この種目で)勝てるのはずっと先のことだと思っていた。でも、このタイムでは世界と戦えない。さらに高みを目指していきたい」と語った。

 その後、57秒台後半から59秒台を行きつ戻りつしていたが、今年3月のパリ五輪代表選考会の準決勝で、56秒台にあとわずかまで迫る57秒03をマークして、復帰後のベスト記録を更新。「後半を泳ぎ切る練習はやってきたので怖がらず泳げたし、思ったより速い」と手応えを語った。決勝では五輪派遣標準記録を100分の4秒上回る57秒30で2位に入り、3大会連続の五輪出場を決めた。

 病気からの復帰後、東京五輪にはリレーで出場したが、全てが順調だったわけではない。自身の日本記録に及ばず、「本来の自分はどこに行ったのか」と苦悩した時期もあった。葛藤の末、23年秋から練習拠点を豪州に移した。練習で世界のトップ選手と泳ぐ中で「いつか追いついてやるという気持ちが出てきた」という。五輪選考会の決勝では17歳の高校生、平井瑞希(ATSC・YW)が池江を抑えて優勝した。伸び盛りの後輩の台頭は、また、池江を奮い立たせる良い刺激にもなっている。

 今年6月15日、米国のパリ五輪代表選考会で、21歳のグレッチェン・ウォルシュがこの種目で55秒18をマークし、サラ・シェーストレム(スウェーデン)が16年リオデジャネイロ五輪で出した55秒48の世界新記録を塗り替えた。世界の壁は高いが、55秒台目前まで迫った18歳の時の泳ぎをイメージしながら池江は調整を続けてきた。

 個人種目では2大会ぶりの五輪出場となる。パリの舞台が間もなく幕を開ける。(デジタル編集部)

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