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アテネ「銀」の泉浩さん、エジプト柔道導く…監督として移住し文化の違い越え「メダリスト出す」

読売新聞 / 2024年7月21日 16時56分

エジプト代表の選手(右)に指導する泉さん(11日、神奈川県平塚市の東海大湘南キャンパスで)

 青森県大間町出身で、アテネ五輪柔道銀メダリストの泉浩さん(42)が、パリ五輪に柔道エジプト代表の監督として臨む。今年1月にエジプトへ移り住み、言葉や文化の違いを乗り越えながら選手たちと向き合ってきた。「五輪でメダリストを出す」。その思いを胸に、指導に力を注いでいる。(安楽泰人)

日本へ「出稽古」

 選手の目を見ながら、柔道着の襟をつかんで技のコツを伝える。英語のほか、時折簡単なアラビア語も交えながら選手に指示を出す――。パリ五輪の開幕まで2週間に迫ろうとする今月11日、泉さんの姿は日本国内の柔道場にあった。この日はエジプト代表の選手2人を連れ、柔道の強豪校・東海大の湘南キャンパス(神奈川県)へ出稽古に来ていた。「様々な選手と組み、実戦形式で練習を積む。五輪に向けた最終調整」と日本での練習の狙いを話す。

 泉さんは2004年のアテネ五輪の柔道男子90キロ級で銀メダルを獲得。08年の北京五輪に出場後、現役を引退し、翌年には総合格闘家へ転身した。その後は実業団での指導や、日本各地で柔道教室を開くなど、後進の育成に携わってきた。

 エジプト代表監督就任の誘いがあったのは昨年10月のことだった。言葉の壁に加え、1歳と5歳の子どももおり、不安はあった。だが以前から「ナショナルチームの監督をやってみたい」という思いがあった。妻の後押しもあり、家族を残してエジプトに移住することを決めた。

アフリカ選手権V

 外国での指導は、日本のように円滑に進むとは限らない。国民の9割がイスラム教徒のエジプトではラマダン(断食月)があり、イスラム教徒の選手は日中、食べ物を口にできない。そのため、ラマダン中は日没後に食事を取ってもらい、夜から練習を始めた。アラビア語の通訳も練習に必ず帯同するわけではなく、細かい指示などが伝わらないこともしばしばある。

 それでも「3割のテクニック、7割の気持ちと集中力」との信念で、選手たちに根気強く指導を続けた。今年4月のアフリカ選手権では、個人戦で八つのメダル、男女混合の団体戦でも金メダルを獲得し、エジプト代表は総合優勝。チームの実力は確実に上がっており、男子81キロ級のアブデルラフマン・アブデルガニ選手(25)は「常に私たちを支えてくれる、世界で最も良い監督。いつか彼のようになりたい」と尊敬の目を向ける。

 監督の任期終了のめどは、ロサンゼルス五輪が行われる28年。現役時代、2度の五輪を経験し、勝つ難しさは分かっている。それでも、五輪や世界選手権でメダリストを輩出するという目標は変わらない。「(パリ五輪が)まだゴールだと思ってはいない。ロサンゼルスまでどれだけ力を出せるか。ここからだ」と前を見据えている。

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