中国政府の不透明な産業補助金「ＥＶなどの過剰生産問題の要因」…ＷＴＯが報告書で指摘

　【ビラサンジョバンニ＝中西梓】世界貿易機関（ＷＴＯ）は１７日、中国に対する貿易政策審査の報告書を公表した。中国政府が補助金などで自国の産業に多額の資金を投入し、その全体像を明らかにしていないことについては、欧米が批判する電気自動車（ＥＶ）などの過剰生産問題の要因と指摘している。

　報告書では、「支援に対する中国政府の透明性の欠如は、過剰生産問題の議論につながっている」とし、中国側の対応不足を取り上げた。中国は国家管理のファンドなどを通じて様々な産業に公的資金を拠出しており、２０１８年以降は特に製造業への支援が大幅に増加したとしている。アルミニウムやＥＶ、半導体、鉄鋼など輸出が多い産業で、特に公的資金の投入額が不透明になっているという。

　中国政府の支援規模を巡っては、１・８９兆元（約４１兆円）から６・５１兆元（約１４０兆円）まで様々な推計がある。ＷＴＯの協定では、政府が自国の特定産業に補助金などを投じた場合、ＷＴＯへ通報する義務を課している。ただ、中国政府は適切に実行していないという。