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直木賞受賞の覆面作家・一穂ミチさん、マスク姿で登壇「パンデミック下でなければ生まれなかった小説」

読売新聞 / 2024年7月17日 21時59分

芥川賞に決まった(右から)朝比奈秋さん、松永K三蔵さん、直木賞の一穂ミチさん(17日、東京都千代田区で)=佐々木紀明撮影

 第171回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞は 朝比奈秋 あさひなあきさん(43)の「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)と 松永K三蔵 まつながけーさんぞうさん(44)の「バリ 山行 さんこう」(群像3月号)に、直木賞は 一穂 いちほミチさん(46)の「ツミデミック」(光文社)に決まった。副賞各100万円。贈呈式は8月下旬に東京都内で行われる。

 朝比奈さんは京都府生まれ。「植物少女」で2023年に三島由紀夫賞を受賞。今回は初の候補で賞に輝いた。受賞作は、一つの体に、顔や胴などが半分ずつくっついた「結合双生児」の姉妹の物語。互いの思考を共有する2人の感覚を通し、人間の意識や命とは何か掘り下げた。

 松永さんは、茨城県生まれ、関西学院大卒。21年にデビュー後、会社員として働きながら執筆し、今回、初の候補で賞を射止めた。ペンネームの「K」は家族の名前のイニシャルからつけた。受賞作は将来への不安を抱え、登山にのめり込む会社員を描いた。

 直木賞の一穂さんは大阪府出身。関西大卒。学生時代に漫画の二次創作小説を書き始め、会社員の傍ら、ボーイズラブ(BL)小説を数多く刊行。一般文芸作品の「スモールワールズ」で22年に吉川英治文学新人賞。今回、3度目の直木賞候補だった。

 受賞作は、新型コロナを思わせる感染症が流行し不安が広がる世界を舞台に、夜の街で客引きする若者や職を失った調理師などが犯罪に遭遇する。三浦しをん選考委員は「バラエティーに富む短編集で、大変な状況で生きている人々の暮らしや感情を見事に書き分けている」と評した。

 覆面作家を貫いてきた一穂さんは、記者会見にマスク姿で登壇。「パンデミック下でなければ生まれなかった小説で、人と人との小さな分断が反映された。今も普通のおばちゃんが小説を書いている気持ち。人生面白いな」と喜びを語った。

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