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能登離れ民宿で生活しながら3か月、石川県総体で勝ち進み「支えてくれた人たち」に感謝

読売新聞 / 2024年7月18日 19時0分

[感謝を力に 高校総体’24]<上>

男子サッカー・鵬学園(石川県七尾市)

 全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)が21日、北部九州4県を中心に開幕する。支えてくれた人たちへの感謝を胸に、大舞台に挑む選手たちを紹介する。

 万感の初優勝だった。1月の能登半島地震で被害を受けた おおとり学園(石川県七尾市)の男子サッカー部。6月の石川県高校総体決勝で強豪・星稜を破り、栄冠を手にした。寮や練習場所を失った選手たちに強さをくれたのは、サッカーでつながった全国の仲間たちだった。「感謝をどうやったら表現できるかを考えてプレーした」。センターバックの竹中健之助選手(3年)はそう振り返った。

 能登半島の付け根にある七尾市は1月1日夕、震度6強の激しい揺れに襲われた。部員44人は帰省中で無事だったが、寮周辺の地面が液状化。選手たちは約1か月間、自宅待機を余儀なくされた。

 赤地信彦監督(39)は、旧知の帝京長岡(新潟県長岡市)監督・古沢徹さん(38)に部活ができない苦しみを打ち明けた。「うちにきなよ」。そう答えた古沢さんの脳裏には20年前の中越地震があった。長岡市は震度6強を観測し、当時学生コーチだった古沢さんは、選手たちのつらさを目の当たりにしていた。同校に加え、名古屋(名古屋市)、東山(京都市)など計約20校が選手を受け入れてくれた。

 赤地監督も活動再開に向け、全員が生活できる場所を探して奔走した。10か所以上断られて見つかったのが、学校から約60キロ離れた富山県射水市の民宿「青山・有磯亭」。十分な代金を支払えない可能性もあったが、代表の青山力也さん(56)の快諾を得られた。

 選手たちも、できるだけ負担をかけまいと掃除や食器洗いを率先して行った。課題は食事だったが、2014年の選手権大会で富山第一を監督として日本一に導いた大塚一朗さん(59)の協力のもと、県生活協同組合連合会やJA全農とやまが米や肉、野菜などを無償で調達してくれた。

 3月末、仮の寮を確保できた。民宿を去る日、選手たちは青山さんに「幸せをありがとう つぎは僕たちが笑顔をとどけます!」と書いたユニホームを手渡した。4月以降は試合のたびに「能登に笑顔を 支えに感謝」の言葉を一文字ずつ書いたTシャツを着てSNSで発信した。

 寮改修もめどが立ち、選手たちは学校のグラウンドで練習を重ね、連係も磨いてきた。石川県総体で勝ち進み、決勝は前半早々に星稜に先制を許したものの、後半に3点を挙げて逆転勝ち。右サイドバックの生駒晟司選手(3年)は「支えてくれた人たちがいなかったら、この景色は見られなかった」とかみしめた。

 試合後、赤地監督から「やりましたよ。全国行ってきます」と連絡を受けた青山さん。「私たちみんなの心に残る2か月間。こちらこそ幸せをありがとうと言いたい」と思いを込めた。

 全国高校総体は21日から福岡、佐賀、長崎、大分の4県を中心に行われ、30競技に約3万6000人の選手・関係者が参加する。8月20日まで。

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