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読響の新首席客演指揮者、ユライ・ヴァルチュハ…マーラーでは小さな音も重要

読売新聞 / 2024年7月18日 18時33分

「音楽はホールにいる聴衆と共に生まれるものです」と語る=岩佐譲撮影

 読売日本交響楽団の新しい首席客演指揮者にスロバキア出身のユライ・ヴァルチュハが就任した。繊細でありながらダイナミック、スケールの大きな音楽を聴かせる手腕は、さらなる飛躍をめざす読響にとって大きな助けになるだろう。(松本良一)

 5月の来日時に指揮したマーラーの交響曲第3番が素晴らしい演奏だった。音楽を彩るエネルギッシュなサウンドもさることながら、印象に残ったのは弱音で紡がれるメロディーの美しさだ。「マーラーでは大きな響きが求められますが、小さな音も重要です。本当に大切なことは小声で話されるものです」。そう語るように、表面的な豪壮さより音楽の本質を重視する誠実な態度が、高い評価を受けている理由だろう。

 読響に初めて客演した2022年、マーラーの交響曲第9番を振り、楽団員から信頼を得た。「コンサートは事前の準備がすべて。リハーサルでの楽団員の集中力は見事でした。これならどんなことでもできるだろうと感じた」。気に入ったのは相性の良さだけではない。「日本には響きの良いホールが多い。オーケストラと共に成長できる環境がそろっています」

 音楽好きの家系に生まれ、ブラチスラバで学んだ後、ロシアのサンクトペテルブルクとパリで腕を磨いた。最初に指揮した曲は自作だという。「作曲と指揮は私にとって常にセットです。最近は作曲する時間がなくて残念です」。オーケストラスコアの深い「読み」には、作曲者としての視点が生かされているようだ。

 イタリア・トリノのRAI国立交響楽団の首席指揮者やナポリのサンカルロ歌劇場の音楽監督などを歴任。コンサートとオペラの両方で活躍し、現在はアメリカのヒューストン交響楽団音楽監督を務める。「古典派から現代まで様々な曲を指揮しました。特に好きなのは、作曲家ではワーグナー、マーラー、リヒャルト・シュトラウス、時代では20世紀初頭です」と話す。

 指揮者には分析力や集中力など様々な能力が求められると言う。「それらを総動員してオーケストラに明確な指示を出し、一瞬ごとに音を作り上げていく。読響のメンバーはしっかり準備してきてくれるので、次のコンサートが楽しみです」

 次に読響を振るのは来年、曲目は再びマーラーを予定している。「一番身近に感じる作曲家」と言うだけに、さらなる名演が期待できそうだ。

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