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廃部寸前→部員約120人、「驚異の復活劇」で全国屈指の強豪「新聞部」…総文祭「連続最優秀」狙う

読売新聞 / 2024年7月21日 11時0分

 学校新聞を発行する「新聞部」。みんなの学校にはあるだろうか? 埼玉県東松山市にある県立松山高校の新聞部は、部員数なんと118人!! 野球部などのいわゆる「王道部活」を差し置いて、校内No.1の規模なのだが、数年前までは廃部の危機にあったというから驚きだ。驚異の復活劇と、人気の秘密に迫った。(読売中高生新聞編集室 鈴木経史)

部員ゼロが続いていたが…

 新聞部の活動は、2019年の夏からストップしていた。3年生の引退で部員がゼロになり、休部状態が続いていたのだ。

 このままでは、いつかは廃部になってしまう。そんなピンチを救ったのが、21年4月に顧問になった国語科の矢野悠季先生だ。

 当時、松山高校に着任したばかりだった矢野先生。新聞部がいつからあるのか、どんな活動をしていたのか、正直よくわからなかったが、「学校の歴史を記録する新聞部を、なくしていいわけがない!」と、強い使命感に られたという。

 「新聞部を生まれ変わらせよう」と、4月から担任を受け持った1年生のクラスで生徒たちに声をかけるなど、先生自ら勧誘に 奔走 ほんそう。熱い思いは実を結び、一気に22人もの新入生が入部した。止まっていた時計の針が、ついに動き出した。

「やりたいことをやる!」部員は急増

 「新生新聞部」がモットーに かかげたのは「やりたいことをやる!」だ。学校新聞というと、校内のイベントや部活動の大会を取り上げるイメージが強いが、部員たちの興味のおもむくまま、学校外にも、積極的に取材に出かけている。

 3年の波多野礼央さん(17)は「気になっている人に会いに行ったり、注目の場所を直接訪れたりできる。部活なのに、自分たちの意思で学校の外にどんどん出て行けるのが、ほかの部活にはない面白さです」と、活動の魅力を語る。

 部員は22年度には約50人、23年度には約100人と急増。昨年7月の全国高等学校総合文化祭(総文祭)では、見事新聞部門の日本一に輝くなど、めざましい進化を げている。

 今年度は66人が加わり、ますます盛り上がる新聞部。矢野先生は「部員たちのやりたいことには絶対にダメと言わない。失敗してもいいから、挑戦を後押しし続けたい」と話している。

著名作家、元プロ野球選手にインタビュー

 新聞部が作る「松山高校新聞」は、A3判の両面2ページ。月3回程度発行され、全校生徒約950人に配布されるほか、校内にも掲示されている。

 毎号テーマを決め、特集やインタビューを組んでいる。取材対象はすべて部員たちの提案で決め、そのジャンルも 多岐 たきにわたる。

 例えば、地元・埼玉県が本拠地のプロ野球・西武ライオンズの元選手にスポーツ上達のコツを聞いたり、ドクターヘリに乗り込んで救急医療の現場に迫ったり。ラーメン店が集まるイベントの裏側を「食リポ」つきで紹介する企画や、小説家、重松清さんへのインタビューなど、プロ顔負けの特別な取材も実現させてきた。

 もちろん、先生へのインタビューや部員のオススメ本の紹介など、学校生活に役立つ身近な情報も盛りだくさんだ。学校行事などを速報する号外「空は晴れたり」も制作していて、昨年度に発行した新聞は計99号にものぼる。

 100人を超える部員が力を合わせて充実した紙面を作るためのコツは「分業制」にある。〈1〉取材班〈2〉ライター班〈3〉IT班〈4〉写真班の4班に分かれ、作業を分担しているのだ。

 前部長で3年の本郷駿さん(18)は「しゃべるのが苦手でも、文章が上手な人や、パソコンの知識が豊富な人もいる。得意分野を生かして、役割を補い合いながら活動できるのが、新聞部の魅力です」と語る。

各部員の役割は…

▽取材班

 取材相手に直接質問をするのが仕事。初対面でもスムーズに会話し、的確に質問をぶつけるコミュニケーション能力が自慢。取材の日程調整なども担う。

▽ライター班

 取材班が聞いた話をもとに記事を書く。インタビューにも同行し、現場では誰より真剣にメモを取る。文章力には自信のあるメンバーがそろう。

▽IT班

 記事や写真などを紙面に せるため、パソコン上でレイアウトを考える。専用ソフトを使いこなす頭脳集団。文化祭では2日間に6回の号外を仕上げたことも。

▽写真班

 取材した人物や場所を撮影するカメラマン。一眼レフカメラなどを使って、大事な瞬間を逃さず切り取る。プロ顔負けの機材を使うメンバーも!

総文祭に出場

 新聞部は、7月31日~8月5日に岐阜県で開催される総文祭に、新聞部門の埼玉県代表として出場することが決まっている。

 総文祭では、出場校が1年間に作った新聞の 出来栄 できばえが審査される。期間中、部員たちは現地の文化や自然などについてその場で取材をし、手書きの新聞も制作するという。

 初めて最優秀賞に輝いた昨年度に続き、今年度は2連覇を狙う。6月に部長に就任した根本翔大さん(17)は「プレッシャーはありますが、自分たちの興味を大切に1年間作り続けてきた新聞なので、最優秀賞を狙っていきたいです!」と意気込んでいた。

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