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島サミット 幅広い協力で海洋秩序を守れ

読売新聞 / 2024年7月19日 5時0分

 同じ海洋国家として、日本と太平洋 島嶼 とうしょ国が協力し、地域の安定を図っていくことは重要だ。

 政府が、南太平洋の18か国・地域の首脳らを招き、太平洋・島サミットを開いた。1997年から3年ごとに開催しており、今回で10回目だ。

 採択された首脳宣言と共同行動計画には、日本が気候変動や安全保障など7分野で重点的に協力していく方針が盛り込まれた。

 気候変動対策では、日本の準天頂衛星を活用し、各国の災害情報を地元住民に届ける仕組みを導入する。各国の通信が途絶えた場合に備えるためだ。

 南太平洋のバヌアツやフィジーは、プレートの境界にあり、大規模な地震が多い。海抜の低いツバルやマーシャル諸島は、海面上昇や津波に悩まされている。

 日本の高い衛星技術を島嶼国の災害対策に生かすことができれば、信頼関係は深まろう。

 安保分野では、海上保安庁や自衛隊を派遣し、人的交流を強化する方針を明記した。島嶼国の沿岸警備能力を高める狙いがある。

 南太平洋は、日本の重要な海上交通路だ。漁業分野では協定などに基づき、日本の漁船が島嶼国の排他的経済水域(EEZ)内でマグロやカツオの漁を行っている。日本が島嶼国と協力関係を深めることは国益に かなっている。

 首脳宣言にはまた、中国を念頭に「武力または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」という表現が明記された。島サミットでは初めてだ。

 中国は南シナ海の岩礁を埋め立て、一方的に軍事拠点化するなど、強引な海洋進出を続けている。島嶼国にも警戒感はあるのだろうが、中国は島嶼国の港湾や空港などのインフラ整備に巨額の援助を行い、接近を強めている。

 今回の首脳宣言に中国を 牽制 けんせいする表現が盛り込まれたからといって、島嶼国が中国との良好な関係を見直すと考えるのは早計だ。

 南太平洋では近年、米中両国が激しく覇権を争っている。

 島嶼国ではかつて、台湾と外交関係を結んでいる国が多かったが、中国が外交攻勢を強めた結果、ソロモン諸島、キリバス、ナウルが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立した。

 一方、米国は昨年、ソロモン諸島とトンガに大使館を開設するなど、巻き返しを図っている。

 日本は島サミットを通じて培ってきた長年の友好関係を生かし、島嶼国のニーズに沿った支援を継続していきたい。

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