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4校同時優勝を経験、「異例の世代」が再び全国の舞台へ…インターハイ・バスケ男子

読売新聞 / 2024年7月19日 10時54分

近畿大会でシュートを放つ東山の松島選手(左)(和歌山市で)

[感謝を力に 高校総体’24]<中>

 新型コロナウイルスが猛威を振るっていた2021年の夏。群馬県で開かれた全国中学校体育大会(全中)のバスケットボール男子は準決勝を行わず、史上初の4校同時優勝で幕を閉じた。準決勝に勝ち進んだ4校のうち2校が、対戦相手にコロナ感染の疑いが出たため、大会規定に従って棄権。すると残る2校も決勝進出を辞退した。異例の結果を受け入れた当時の主将らは高校3年生となり、全国の舞台に集う。

 「棄権してください」。八千代松陰中(千葉)の顧問、 忽滑谷 ぬかりや裕二さん(32)は3年前の夏、大会関係者から告げられた言葉が今も耳に残っている。準決勝に向かうバスの車内で待機していた選手たちも、知らせを聞いて思わず涙をこぼした。

 ベスト4には、八千代松陰中のほか、本山南中(兵庫)、白新中(新潟)、西福岡中(福岡)が勝ち残っていた。うち八千代松陰中と本山南中は、前日までに対戦したチームの関係者に感染の疑われる症状が出たため、準決勝を棄権するよう求められた。

 しかし、しばらくすると大会本部から連絡が入った。「白新中、西福岡中も辞退するので優勝になります」。一瞬、耳を疑った。八千代松陰中と本山南中の思いをくんで、2校が辞退したと聞かされた。車内は一転、歓喜に包まれた。

 「下を向かず、前を向いて生活することができました」。八千代松陰中の主将だった菊谷宗右選手は、2校に宛て、感謝の手紙を書いた。

 菊谷選手は、前橋育英(群馬)に進学し、今夏は主将として県大会を制した。1、2年時は届かなかった全国の舞台。「全中は最後まで戦えなかった。全国ではとにかく楽しみたい」と意気込む。

 一方、白新中の主将だった松島慎弥選手は、菊谷選手の手紙が届くと、すぐに返事を書いた。「誰も悪くない。みんなが経験できない4校同時優勝は最高の思い出。胸を張ろう」。素直な思いをつづった。

 当時の白新中は県大会を初制覇し、北信越大会も初優勝。初めての全国大会では日本一を目標に掲げていた。コロナのために試合を続けられなかったことへの悔しさから涙がこぼれたが、最後は全員笑顔で表彰台に立った。

 高校は東山(京都)に進み、本山南中の瀬川 琉久 りく選手とチームメートになった。入学直後にその話題になったが、「やったら勝てたけどな」とお互い笑い合った。東山は16年と昨年の全国総体で準優勝に輝いた強豪校ながら、日本一の経験はまだない。

 松島選手は「2人が一緒になったのも何かの縁。入学したときから、瀬川と『目標は日本一』と確認し続けてきた」と話す。東山は優勝候補の一角として決戦の地・福岡に乗り込む。

 菊谷選手は「バスケができることを感謝する思いが、これまで以上に細かいプレー、相手選手を思いやるプレーにつながった」と話す。コロナ禍で芽生えた友情が、しっかりと今に生きている。

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