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下請けの「不当な商慣習」是正へ議論、公取委などが有識者会議…「金型」無償保管の問題など議論

読売新聞 / 2024年7月19日 5時0分

 公正取引委員会などが、大手企業と下請け業者の不当な商慣習の一体的な是正に向け、新たな有識者会議を設置する。中小製造業を長年圧迫してきた部品製造に使う「金型」の保管に関する下請法適用の在り方などが論点となる。政府は、経済の好循環の実現には、中小企業の経営環境の改善が不可欠とし、同法の運用強化に一層本腰を入れる考えだ。

金型の「所有権」

 公取委と中小企業庁が来週、取引適正化に向けた方策を議論する有識者会議「企業取引研究会」の初会合を開催する。座長は神田秀樹・東大名誉教授が務め、弁護士や経団連、中小企業経営者らで構成する。下請法は主要な改正から約20年が経過しており、長年見過ごされてきた商慣習を総点検して見直す狙いがある。

 議題の一つとなるのが、金型に関する「所有権」だ。

 現行の下請法では、部品などを発注する大手側が金型の所有権を持つ状態で、下請け業者に無償保管させた際に同法違反が認定される。今月に勧告を受けたトヨタ自動車子会社の事例がこれに当たる。

 しかし、自動車業界などでは、所有権は下請け業者に持たせながら、下請け業者が金型を廃棄したくても、大手側の許可が必要となるなど、大手側が実質的に管理しているケースが多いとされる。

 中企庁の昨年の調査では、金型や木型などの「型」の保管費用について、発注者側の約5割が全く負担していないことが明らかになった。現行ルールに抵触しない形で、下請けいじめにあたる慣習が横行している懸念が強い。

 有識者会議では所有権の有無を問わず、実質的に大手側が管理している金型を無償保管させているケースについても、違反対象に含めるかどうかが焦点になりそうだ。

「買いたたき」

 大手企業の下請け業者に対する「買いたたき」も主要な論点だ。

 公取委は、円安や原材料の高騰などでコスト上昇が続く現状を踏まえ、大手側が交渉せずに価格を据え置いた場合も「買いたたき」として扱うことを既に明確化している。その上で、大手側に対して、事前の価格交渉をより厳格に求め、不十分な場合は勧告を行えるよう下請法の見直し策を議論する。

 公取委は、下請法の対象外となっている荷主と運送事業者の取引に関しても、同法を適用するために法改正を行う方針で、有識者会議で具体化を進める。トラック運転手が不足する物流の2024年問題の改善につなげたい考えだ。

 26年の約束手形の廃止に向けた検討を加速させるほか、上下関係を思わせる「下請け」という用語に代わる言葉の選定も論点だ。

 政府が取引適正化に力を入れるのは、物価と賃金が連動して上昇する経済の好循環の実現には、雇用の7割を占める中小企業の成長がカギを握るからだ。

 長年染みついた商慣習を一掃することで、中小企業が賃上げや設備投資の原資を確保しやすい環境を整え、持続的な経済成長につなげることができるのかが問われている。

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