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米共和党大会 トランプ氏の「団結」は本物か

読売新聞 / 2024年7月20日 5時0分

 暗殺の標的となり、辛うじて死を免れた恐怖の経験が、全米の国民に向けた「団結」の訴えにつながったのだろうか。

 米国のトランプ前大統領が、共和党の大会で、大統領候補の指名受諾演説に臨んだ。

 銃撃で負傷した右耳をガーゼで覆った姿で登壇し、「米社会の不和と分断を修復しなければならない」「すべての米国民のために大統領選に立候補する。半分のためではない」と述べた。

 事件後、用意していた原稿を全面的に書き換え、銃撃の詳細についても公の場で初めて語った。「つらくて(二度は)話せない」と、ショックをにじませた。

 国境管理や外交など個別の政策をめぐっては民主党を厳しく批判したが、バイデン大統領らに対する個人攻撃は控えた。

 トランプ氏は前回大統領選での敗北を認めず、これまで政敵への「報復」を公言してきた。

 行き過ぎた分断が深刻な事態を招くことを実感し、戦略の修正を図ろうとしているのかどうかは、今後の行動を見極める必要がある。少なくとも、トランプ氏と距離を置く無党派や党内穏健派を引きつける狙いはあるのだろう。

 事件によって、共和党が結束を強めたのは間違いない。

 党大会では、トランプ氏と大統領候補の座を争ったニッキー・ヘイリー元国連大使が、トランプ氏支持を表明し、「投票する時、トランプ氏と100%意見が一致している必要はない」と訴えた。

 トランプ氏を敵に回すより、協調姿勢を示した方が得策との思惑で動いたライバルは少なくない。一方、ブッシュ元大統領、チェイニー元副大統領、ペンス前副大統領ら重鎮は姿を見せなかった。

 トランプ氏は言葉で「団結」を訴えながらも、異論には耳を貸さず、自らの考えに近い人を中心とした政権作りをめざすのではないか、という疑念は拭えない。

 副大統領候補には、トランプ氏を信奉し、白人労働者層重視の「米国第一主義」を掲げるJ・D・バンス上院議員を選んだ。バンス氏は党大会での演説で、「同盟国にも世界平和の確保に向けた重荷を分担させる」と語った。

 同盟は相手国に対する施しではなく、米国自身の利益になっているという事実の認識が欠けているのではないか。

 トランプ氏の選挙スローガンは、「米国を再び偉大に」である。11月の大統領選に向けて、その名にふさわしい外交・安全保障政策を精査してほしい。

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