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特撮のレジェンド・村瀬継蔵さんの集大成、思い込めた映画公開…ゴジラやウルトラマンに携わる

読売新聞 / 2024年7月20日 8時2分

映画の公開を前に「受け継いだ特撮の技法を伝えたい」と話す村瀬さん(2日、瑞穂町で)

 特撮映画に登場する怪獣の着ぐるみなどを制作してきた東京都瑞穂町在住の美術造形家、村瀬継蔵さん(88)が初めて総監督を務めた特撮映画「カミノフデ~怪獣たちのいる島~」が完成し、今月26日から公開が始まる。日本の怪獣映画の基礎を築いた「レジェンド」の村瀬さんが、培った特撮の技術や知識をつぎ込んでつくりあげた力作で、村瀬さんは「昔ながらの特撮映画の魅力を改めて知ってもらいたい」と上映を待ちきれない様子で話す。(福地一之)

 村瀬さんは「ゴジラ」や「ガメラ」、「ウルトラマン」など、往年の特撮の各シリーズの撮影に参加し、怪獣の着ぐるみや美術品などの制作に携わってきた。1972年に自ら造形美術会社を設立し、78年には同社の制作拠点を瑞穂町に移転。以来、半世紀にわたって映画制作の現場を支え続け、今年1月には日本アカデミー賞の協会特別賞を受賞した。

 瑞穂町を制作の拠点としたことについて、村瀬さんは「制作過程は秘密にしなければならないことが多い。人口も過密ではなく、人の目にさらされない瑞穂町の環境がふさわしかった」と明かす。さらに、町の人たちが制作に口を出すことなどもなかったといい、「信頼できる人々が集まる瑞穂町だからこそ、長年活動できた面がある」と感謝を口にする。

 村瀬さんが原作も担当した「カミノフデ」は、自身の特撮や造形への思いが込められたファンタジー作品だ。不思議な力を持つ「神の筆」にまつわる映画を撮ろうとしていた美術造形家が亡くなったことを機に、その孫娘と同級生が映画の世界に入り込んでしまうというストーリー。映画の世界では全てを破壊し尽くそうとする「ヤマタノオロチ」などが登場する。

 70年代に書き留めたアイデアをもとにストーリーを作り上げたという村瀬さんは「いまの子供たちも、生活の中で苦労やつらさを味わうことがあるかもしれない。どんな子供でも、この映画を見て楽しい気持ちになってほしい」と作品に込めた意図を説明する。

 撮影に当たっては、着ぐるみなどの造形物に人が入って動かすことに強くこだわり、特にヤマタノオロチはワイヤで操作する「操演」と、中に入った演者による演技を組み合わせることで、複数の頭を同時に動かすことを可能にした。出雲神話の舞台である島根県の「石見神楽」を動きの参考にしたといい、大きな巨体がじわじわ迫ってくる様子など見応えのある迫力あるシーンを生み出した。

 今回の作品には過去に取り組んできたことを積極的に取り入れており、これまでの活動の集大成と位置づけている。村瀬さんは「特撮映画でいろんなことができることを示したかった。『こういう撮影の仕方があったよね』と考えてもらうなど、培ってきた技法が若い世代に伝わるきっかけにもなれば」と期待している。

 26日から「TOHOシネマズ日比谷」(千代田区)などで上映が始まり、その後全国の劇場で順次公開される。映画や上映スケジュールなどについては、「カミノフデ」の公式サイトで確認できる。

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