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静岡市に「AI市長」誕生、職員の政策立案へアドバイス…本物の市長も「効率化につながるかも」

読売新聞 / 2024年7月20日 10時30分

AI市長の試作品について意見交換する池田さん(左)ら(静岡市役所で)

 静岡市の職員が生成AI(人工知能)「チャットGPT」を活用し、市長の目線で政策立案へのアドバイスをしてくれる自動回答プログラム「AI市長」を作った。「より良い政策をつくりたい」「上手に市長レクを済ませたい」との庁内のニーズに応えたもので、難波喬司市長も「業務効率化につながるかも」と期待している。

庁内にニーズ

 作成したのは、厚生労働省から出向している市保健福祉長寿局次長の池田陽平さん(39)。昨年8月に行われた若手、中堅職員らによるワークショップで、市長に事業や政策の説明を行う「市長レク」の予行演習を手軽に行える対話型AI作成のアイデアが出されたことがきっかけになった。

 難波市長は国土交通省出身で、県の副知事を務め、昨年4月に初当選。池田さんは市長の公約集や市政運営方針などをデータ化してチャットGPTに取り込み、情報流出などのリスク管理も試行した。

 例えば、AI市長に「孤独・孤立対策推進法に基づき、どのような取り組みをすべきか」と聞くと、「社会的つながりの強化」「テクノロジーの活用」などの取り組みを例示。「(市長は)市民への啓発キャンペーンを好むか」と聞くと、「単なるキャンペーンでなく、より実践的で効果的な対策を求める」と回答した。

 さらに、市長から「分析が足りない」「論理的でない」などと指摘されることが多い点を踏まえ、「政策を磨くツール」として国の資料や学術論文を100本以上取り込んだ「AI次長」も作成。池田さんは「AI次長で政策を練り上げ、AI市長で対話を重ねることで、業務が効率化されて政策の質も高まれば市政にとって大きなプラスになる」と話している。

県外でも

 生成AI活用の動きは静岡市以外でも活発化している。広島県三原市の岡田吉弘市長は、今年の年頭訓示の一部を生成AIによる動画で行った。神奈川県横須賀市の上地克明市長も生成AIで自身のアバターを作成し、英語による情報発信をAI市長に担わせている。

 北九州市では、「AI市長秘書官」が市長のあいさつ文を自動で作成する実証実験を実施。武内和久市長の記者会見での発言や市の政策を生成AIに学習させた。

 ただ、どう使いこなすか模索も続いている。静岡市では、生成AIの活用について運用上の留意点などを記したガイドラインの策定を目指す。「AI市長」以外にも、あいさつ文の作成や文章の要約・校正などでの使用を見込む。県は昨夏、チャットGPTに限定して業務上の利用方針を定めた指針を策定。文章要約や事業のアイデア収集など6項目を用途に掲げた一方で、入力情報を学習データとして使用しない設定を求めた。

 鳥取県では今年4月、全国で初めて生成AIを活用する際の理念を報告書にまとめた。「人間主導の原則」として「AIの結果に依拠せず、人間が精査し決定する」ことなどを明記している。

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