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ワイン受領の兵庫県知事、自宅で飲むも「政策でやるべき」PRは行わず…「機会があれば言いたい」

読売新聞 / 2024年7月20日 10時15分

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、県議会の百条委員会が19日に開かれ、斎藤知事が出張先で特産ワインを求めたとする音声データと陳述書の内容が公開された。斎藤知事は記者団にワインの受領を認め、「私が飲ませていただき、素晴らしさをPRするのは県の産業政策としてやるべきだ」と釈明。問題ないとの認識を示した。

 ワインに関する疑惑は、前県西播磨県民局長の男性職員(60)が3月に文書で指摘した、知事のパワハラや企業からの贈答品の受け取りなど7項目の疑惑とは別となる。男性職員は当初、この日の百条委に証人として出頭する予定だったが、7日に死亡しているのが見つかった。自殺とみられる。男性は音声データと陳述書を準備しており、遺族が百条委に提出した。

 音声データは1分弱で、斎藤知事が2022年11月7日、県西部の上郡町で行われた地域づくりの会合に出席し、特産のワインが話題に上がった際に、「まだ私は飲んでいないのでぜひまた、(中略)折を見てお願いします」と発言した部分が公開された。

 これについて、上郡町の梅田修作町長は19日に記者会見を開き、会合から1週間後の11月14日、町職員が県庁に出張する際、ワイン2本を秘書課に届けたと説明。「『おねだり』とは感じなかった」とする一方、「知事が公の会議の場で発言されたことは非常に重いと思う。多少は影響され、ワインを用意させた」と述べた。

 斎藤知事は19日、記者団に、「折を見てお願いします」などの発言について、「一般的な社交儀礼の会話だ」と強調。「対外的発信を応援してほしいと言われた。(ワインは)置いておくわけにはいかないので、自宅で飲んだ」と説明した。一方、このワインをSNSなどでPRする活動は行っていなかったといい、「機会があればこういうおいしいワインがあると言いたいと思う」と述べた。

 進退については、「県政を前に進めていくことが果たすべき責任だ」と述べ、改めて辞職を否定した。

陳述書も

 陳述書はA4サイズ11ページで、3月の内部告発で知事側が特定企業から受け取ったとされる贈答品やパワハラ疑惑について、想定問答形式で記されていた。

 23年7月に県と包括連携協定を結んだ企業からは「ロードバイクが贈呈された」とし、「企業のサイトには『知事のサイクリング用として、県に貸与』と明記されている」と記載。「期限を付さない無償貸与は実質的に贈与とみなされるのではと思い、(告発内容に)盛り込んだ」などとした。

 知事のパワハラについては、「知事室における協議時には、気に入らないことがあると机を たたいて怒ったり、激こうすることは日常茶飯事」などの記述があった。

百条委員会、50人に証人尋問実施へ

 百条委は今後、斎藤知事によるパワハラや贈答品の受領などの疑惑について、11月までに約50人に証人尋問を実施し、年内をめどに調査報告書をまとめる。

 証人尋問を控えた男性職員が死亡したことを受け、証人となる職員に対するメンタルケアを徹底する方針で、今後対策を協議する。

 19日の会合では、法的アドバイザーに元検事の丸山毅弁護士を選任。全職員約9700人を対象に、疑惑に関するアンケートを実施することを決めた。9月上旬に最終報告が行われる。

もらったままは問題

川上和久・麗沢大教授(政治心理学)の話「『PRのため』と説明するなら、実際にSNSや県の広報誌などでPRすべきだった。受領した物品がどう使われたのか説明されず、もらったままになっているのであれば問題だ。物品の金銭的な価値などにかかわらず、説明を尽くすべきだ」

自ら基準示す必要

元神奈川県逗子市長の富野暉一郎・龍谷大名誉教授(地方自治論)の話「政治家が地域や企業から試食を勧められたり、物品を贈ってもらったりすることは少なくない。断れば地域に冷たいと思われるかもしれないが、誤解を招きたくないのであれば、自分なりの基準を明確に県民に示す必要がある」

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