日本製鉄、ＵＳスチール買収のアドバイザーにポンペオ元国務長官起用「両陣営から尊敬されている」

ポンペオ氏（１月２３日、東京都千代田区で）＝佐々木紀明撮影

　【ニューヨーク＝小林泰裕】日本製鉄は２０日、米鉄鋼大手ＵＳスチールの買収に向け、ポンペオ元米国務長官をアドバイザーに起用したと明らかにした。１１月の米大統領選も絡んで買収は政治問題化しており、ポンペオ氏の起用で買収完了に向けた調整を円滑に進める狙いがある。

　日鉄はポンペオ氏について、「（共和党と民主党の）両陣営から尊敬されている。米国が直面する安全保障上の課題について、他に類を見ない洞察力を持つ。今回の買収によって米国経済と国家安全保障をより強くしていくため、連携して対応していく」としている。

　トランプ前大統領が１１月の大統領選で勝利した場合、ポンペオ氏は政権幹部として復帰する可能性も指摘される。米ブルームバーグ通信によると、ポンペオ氏は、同盟国である日本と連携し、米国製造業の基盤を拡大すべきだと主張しているという。

　買収には全米鉄鋼労働組合（ＵＳＷ）が反対し、バイデン大統領も慎重な姿勢だ。トランプ氏は「阻止する」と主張している。