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給食のない夏休み、支援のフードバンクを食品値上げ直撃…家庭からの寄付8割減の団体も

読売新聞 / 2024年7月20日 17時27分

フードバンク狛江の倉庫では、昨年と比べて空スペースが目立っている(8日、東京都狛江市で)

 学校が夏休みに入り、給食がなくなる時期を迎えている。全国のフードバンクは、満足な食生活を送れない子育て世帯を支援しようと、毎年この時期に食品配布を集中的に行っている。長引く物価高の影響で、支援を必要とする世帯が増える一方で、家庭からの寄付は減っており、各地のフードバンクは食品集めに苦労している。(樋口絢香)

目立つ空き

 「これまでいっぱいだった食品棚に、空きが目立つようになった。地域で4000枚のチラシをポスティングして食品の寄付を呼びかけている」。フードバンク狛江(東京都狛江市)の田中妙幸理事長(71)は、食品在庫について説明する。

 同団体は学校が長期休みに入る夏、冬、春に約200戸の子育て世帯に食品を届ける活動を続けている。生活が苦しいひとり親世帯では、給食がなくなる夏休みに、子どもにかかる食費を確保しようと、親が食事を控えるケースが少なくないためだ。

 フードバンク狛江では、事務所や倉庫に直接、市民から食品が持ち込まれているほか、市内12か所に設けられた窓口で寄付を受け付けている。昨年はこの窓口に寄せられた食品が積み上がり、「早く回収してほしい」と連絡が来るほどだったが、今年は大幅に寄付が減っている。今年4~5月の2か月間で、同団体に寄付された食品の総量は約2・4トンと、昨年同時期と比べて3分の2以下にとどまった。家庭からの寄付を受け付けている窓口に限ると150キロしかなく、昨年の2割ほどにまで減少している。

「値上げで買えない」

 「全国フードバンク推進協議会」(東京)が今年6月、協議会に加盟している団体に対して行った意向調査でも、7割が「以前より寄付が減ったと感じる」と答えた。

 家庭からの寄付が減った大きな理由は物価高だ。全国の主要なメーカー195社の食品値上げの動向を調査している「帝国データバンク」によると、今年は値上げされる品目数は昨年に比べて減っているものの、急速に進んだ円安や、「物流の2024年問題」による人件費高騰を原因とした値上げが続いている。昨年の値上げ率平均は15%だったのに対し、今年は17%と、値上げ幅が大きいことが特徴という。

 フードバンク狛江の田中理事長は「食品の値上げで、余裕がなくなっている家庭が増えているのではないか。家庭からの寄付は缶詰やお菓子が多く、支援家庭に喜ばれるのだが……」と話す。企業からの寄付は、アルファ米などの主食系や飲料水などが多いのに対し、一般家庭からはおかずとなるレトルト食品などの寄付が多いという。

 フードバンク狛江から支援を受けるシングルマザーの女性(46)は、母親の介護を続けながら、四つのパートを掛け持ちして生活費を稼いでいる。女性は「食べ盛りの子どもには空腹を我慢させたくないが、値上げで買えない食品が増えている。支援がなかったらどうなっていたのだろう」と話す。

給食だけ

 長引く物価高で家計が圧迫され、新たに支援を必要とする世帯は増えている。同協議会などが昨年、全国のフードバンク85団体から回答を得たアンケート調査では、77%が「支援の要請が増加した」とした。

 同協議会の米山広明代表理事(40)は「そもそも、十分な食事を取れるのが給食だけという家庭もあり、この時期に集中的に食品を配布することは非常に重要だ。全国のフードバンクに企業や家庭からの食品の寄付をお願いしたい」と話している。

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